2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of measure to prevent the infection of SARS-CoV-2 in workplace
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22K18409
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
森本 泰夫 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 教授 (30258628)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 秀憲 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 教授 (40294889)
矢寺 和博 産業医科大学, 医学部, 教授 (40341515)
和泉 弘人 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 准教授 (50289576)
江口 尚 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 教授 (50722146)
鈴木 克典 産業医科大学, 大学病院, 准教授 (70389435)
川波 祥子 産業医科大学, 産業医実務研修センター, 教授 (70449940)
大和 浩 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 教授 (90248592)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2026-03-31
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Keywords | 新型コロナウィルス / 予防 / マイクロ飛沫 / 感染 |
Outline of Annual Research Achievements |
大学の模擬居室(換気回数:20回/h以下)において、発語や咳嗽によって発生する微粒子を二次元レーザー光線で可視化するとともに、異なる6種類の粒子径の個数濃度を同時にカウントするパーティクルカウンター4台を用いて、口元から正面に距離50cm、および、100cm、さらに、左右斜め45度で距離100cmにおける粒子の挙動と微粒子の個数濃度を、換気の無い状態、通常の居室の換気回数(2回)、換気強化(換気回数10回)の3つの条件で測定する設定を行った。熱流体解析ソフトウェアCOMSOL Multiphysicsを用いて、同室における粒子の挙動や濃度分布の推移を理論的に把握するため、流体力学や粒子の拡散を想定したシミュレーションモデルを構築し、計算条件の検討を行った。また、換気扇のON/OFFを切り替えた状態でそれぞれ在室者3名を想定した呼吸量の二酸化炭素をボンベから発生させながら、CO2濃度・温湿度データロガーにより二酸化炭素濃度の経時変化を記録して、模擬室の換気扇の換気性能を評価した。 ウイルス感染試験を構築するために宿主細胞(CRL-2787)にネココロナウイルス(VR-989またはVR-990)の感染成立に必要なACE2とTMPRSS2を安定発現させたCRL-2787LATを樹立した。さらに、限外ろ過を使ってVR-990を濃縮した。その結果、感染力の高いVR-990(TICD50/mL:2.99X10の8乗)を安定的に準備することが可能になった。 感染リスクの予測モデルの開発に必要なパラメーターを検討するための事業所単位での新型コロナウイルス対策の実態についての情報収集のために調査協力先の調整、検討を行ったが、現時点では調整中であり、調査先としての確保はできていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大学の模擬室において、粒子の挙動を二次元レーザーや粒子径別に個数濃度測定は実施しており、シミュレーションモデルにて解析も行っており、順調に進展していると考える。壁材室のコロナウイルスの活動性の評価において、感染に必要な遺伝子を組み込んだ細胞株を樹立しており、壁材評価の初期段階は達成したと思われる。以上のことから研究は概ね順調に進行していると思われる。また。病院における感染者からの感染状況聴取、職場における感染予防対策のアンケートなどに関しては、倫理申請の準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
模擬居室において、通常の会話レベルの発語、大声での会話による発語をした場合の微粒子粒子の挙動について、二次元レーザー光線での可視化およびパーティクルカウンターでの粒子数の測定を行う予定である。 二酸化炭素濃度および粒子径毎の粒子濃度の経時変化の実測値についてそれぞれ解析を進めるとともに、実験条件に合わせたシミュレーションを実行し、計算結果を実験結果と比較する。完全混合モデルに基づく室内均一濃度での感染リスク推定モデルを、局所的な二酸化炭素濃度あるいは粒子濃度の偏りを考慮した感染リスク推定モデルに拡張し、換気などの感染対策の効果を定量的に評価できる方法を構築する。さらに、実験・シミュレーションともに2023年度より開始予定の聞き取り調査の結果、可能な範囲で実際の室内環境へとスケールアップし、評価を行うことで、室内環境に応じた新型コロナ感染対策手法の提案を試みる。 作製したCRL-2787LAT(ACE2とTMPRSS2を安定発現)と高い感染力を持つVR-990を使って各種の試験片の抗ウイルス効果を評価する。試験片は、陶器質タイル、セラール、壁紙、不燃メラミン化粧板、メラミン化粧板、軟質PVC、クロロプレンゴム、ニトリルゴム(NBR)などから使用状況や試験条件等を勘案して選択して評価する。 新型コロナウイルス感染症対策について様々な事例が蓄積をしていると考えられる介護施設を中心に、調査協力先の検討を進める。調査協力先が確保でき次第、視察を行い、感染リスクの予測モデルに必要な情報の収集を行う。 新型コロナウイルス感染症対策の実践の状況についてさらに確認を行い、倫理審査の申請を進める。
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Causes of Carryover |
ロシアのウクライナ侵攻による影響と思われるが、機器に使用する半導体が不足して、粉じんの計測機器などの入荷が大幅に遅延し、さらにそれに付随する消耗品などの購入等が滞ったため、一部の費用を次年度に繰り越した。これらの機器購入の遅延がどこまで遅延するかは不明であるが、今年度中には購入可能とのことであったので、今年度中には使用する予定である。
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