2023 Fiscal Year Research-status Report
興奮性・抑制性ニューロン比率の最適性原理に基づく精神疾患発症メカニズムの解明
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22K18419
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
池口 徹 東京理科大学, 工学部情報工学科, 教授 (30222863)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 寛太郎 東京大学, ニューロインテリジェンス国際研究機構, 特任准教授 (00557704)
岡田 直大 東京大学, ニューロインテリジェンス国際研究機構, 特任准教授 (40797122)
島田 裕 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (50734414)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2026-03-31
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Keywords | 脳神経系 / 時空間学習則 / スパイクタイミング依存学習 / 脳機能画像データ / 学習 / 認知機能 / テンポラル・ネットワーク / グラフ間距離 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の実績としては,以下の4項目に大別できる. (1) 時空間学習則 (STLR) に関して時間履歴がある場合とない場合について,パターン分離能力を評価指標として調査を行った.その際,ヘブ則との比較も行うことで検討した.数値実験の結果,時間履歴がある時空間学習則において最も性能が良いことが確認された.また,興奮性結合と抑制性結合を導入することでモデルを拡張し,STLRの特性・性能がどのように変化するのかということについても解析を行った.さらに,学習則として拡張版のSTLRを導入することで性能解析を実施した.さらに,機械学習との関係から,リザバーネットワークにおける学習則に関する調査を行うための基礎実験を実施することで,STLRへの対応について検討を行った. (2) 精神疾患患者および健常者より安静時脳機能画像データを取得した.安静時脳機能画像データをプロセシングし数値化したデータと臨床情報データを,研究代表者および他の研究分担者に提供した. (3) 脳神経系の学習と認知機能の数理モデル構築を進めた.また,リザバー系を用いた機械学習と脳機能との関係を調査した. (4) 脳機能データのネットワーク解析への応用を念頭に,テンポラル・ネットワーク構造の予測手法に重要なグラフ間距離の性質を調査した.具体的には,テンポラル・ネットワークの時間発展の力学的性質をどの程度捉えることができるかという観点から,種々のグラフ間距離を評価し,その特性を明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・時空間学習則に関しては,その基本的な性能についての調査を行い結果が順調に得られている.また,現在得られた内容を原著論文とするために原稿を作成している. ・脳・神経系の数理モデルの構築については順調に進んでおり、その過程で機械学習アルゴリズムや非線形数理解析の理論研究,膵β細胞などへの応用研究に関する成果を得ており概ね順調に進展している. ・fMRIデータに関しては,データ取得・データ共有を進めることができ,こちらも概ね順調に進展していると評価できる.
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Strategy for Future Research Activity |
・2023年度に続いて,時空間学習則についての検討を行う.その際,離散時間モデルについては,これまでの形式ニューロンモデルのみならず,不応性が含まれたモデルを用いることで解析を行う.具体的には,南雲・佐藤ニューロンモデル,カオスニューロンモデルによる解析を実施する.また,離散時間モデルのみならず連続時間モデルも導入することで学習則の特徴・性能に関する調査をおこなす. ・上記に加え,脳・神経系の数理モデル研究を進めることで,精神疾患発症メカニズムとの関連を調査する. ・さらに,精神疾患患者および健常者より安静時脳機能画像データの取得を継続する.また,安静時脳機能画像データのプロセシングも継続する.
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Causes of Carryover |
当初予定していた学会発表等よりも,数理モデル解析,データ取得,データ解析を優先させることにし,これらの予算を次年度使用としたため.
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