2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K18444
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
直江 清隆 東北大学, 文学研究科, 教授 (30312169)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高浦 康有 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (00340216)
松井 亮太 山梨県立大学, 国際政策学部, 講師 (20897441)
金光 秀和 法政大学, 人間環境学部, 教授 (50398989)
上杉 繁 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (80350461)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 集団志向性 / 責任の分散 / 認知バイアス / デザインの哲学 / サスティナビリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、研究チーム内で相互に適宜連携を取りつつ、集団思考が問題となる場に関しての分担者それぞれの研究の深化と成果報告を行った。分担者の松井は、原子力に携わる電力会社やメーカーの技術者、大学の研究者や官僚などに対して、福島第一原発事故前の認識や現状認識についてのインタビュー調査を行い、それに基づいて、認知バイアスや集団心理、組織の構造が「安全神話」という不合理な状況をいかにして生じさせたかの過程を分析した。高浦は、東北地域の企業の現場調査を土台に、複雑かつ多岐にわたるサステナビリティに関する課題を把握し、施策や取り組みに反映させるための具体的な方策について、経営倫理学的、比較文化的な研究を行った。直江、金光、上杉の3名は、人工物のデザインやその中ではたらくべき倫理について、工学および哲学的な視点からの研究を行い、デザインが人工物からサービス、社会政策へと多様で複雑な領域へと展開するため、その機能のすべてを厳密に記述することが困難な不確実さが存在することになり、設計者、使用者はならず多様な関係者の参加が必要となることについて、具体的な事例研究と理論的研究を行った。以上の成果は、失敗学会、国際学術シンポジウム、科学基礎論学会、ヒューマンインターフェース学会、The 23rd Biennial Conference of the Society for Philosophy and Technology(Tokyo, 2023)などで報告され、国外/国内の研究者と共同討議で検討された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論形成の作業に関しては順調に進行しており、国内/国際的な場での報告を積み重ねている。理論研究と平行して進行している企業への聞き取り調査も、松井、高浦を中心に進められ、理論と相互浸透した進展が期待される時点にまで到達している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き人工物を責任の変容に関する理論的、エスノグラフィカルな研究を行う。2023年6月に東京で開催されたThe Society for Philosophy and Technologyや日中相互影響に関する国際学術シンポジウムにおいて形成された海外、とりわけ東アジアの研究者とのネットワークを利用し、日本と海外との比較研究を発展させる。また、理論的研究と現地調査を統合的に行い、「認知者・使用者・設計者」間の協働関係、認知の相互補完関係を調査する。
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Causes of Carryover |
2023年度は、複数の企業への聞き取り調査を進める予定であったが、聞き取り対象となる企業側との折衝に手間取り、対象数が限定されてしまった。2024年度は、この調査を行うとともに、ローマで開催される世界哲学会議の技術哲学セッションへの研究者派遣や、学会でのワークショップ開催なども検討し、国際的・国内的な視点から日本の集団志向性について研究を深める予定である。
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