2023 Fiscal Year Research-status Report
Designing a "Karakuri" pictogram driven by a spiral spring for social inclusion
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22K18457
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
須長 正治 九州大学, 芸術工学研究院, 教授 (60294998)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 真生 九州大学, 芸術工学研究院, 助教 (40738986)
竹之内 和樹 九州大学, 芸術工学研究院, 教授 (90207001)
伊原 久裕 九州大学, 芸術工学研究院, 教授 (20193633) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | ピクトグラム / からくり機構 / 社会包摂 / 認知症 / 知的障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
ピクトグラムは,絵文字や画像記号とも呼ばれる視覚記号のひとつであり,絵によって意味するモノやコトの概念を理解させる情報伝達手段である.しかし, 認知的機能に障害があると,ピクトグラムの概念理解に至らない場合がある.そこで,本研究課題は,からくり機構をピクトグラムに適用し,動かすことによっ て,認知機能に障害を持つ方のピクトグラムの理解の促進だけではなく,社会に対して障害理解を促進することを目的としている. 2年目の令和5年度は,からくりピクトグラムに関する実験の前に,認知症の高齢者のピクトグラムの理解度を調査する目的で,現在,コミュニケーションツールとして使用されている「コミュニケーション支援絵記号デザイン原則(JIS T 0103)」から20種類の絵記号を選択し,それらに対する理解度調査を五者選択法によって行った.その結果,高齢者の正答率はおよそ70%だったのに対し,認知症高齢者では40%程度の正答率となり,チャンスレベルである20%の正答率程度の絵記号も6種類あった.これらのことから,コミュニケーション支援絵記号に対する認知症高齢者の理解度は著しく低いことが明らかになった.また,高齢者のおよそ70%正答率も決して高いとは言えない.以上のことから,認知症高齢者だけではなく,高齢者に対しても,コミュニケーション支援絵記号自体もなんからの改善が必要であると言える. この研究成果については,第70回日本デザイン学会 春季研究発表大会にて,学会発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
からくりピクトグラムの機構については,進捗がなかったものの,からくりピクトグラムの効果を見るためには,認知症を持つ高齢者に対して,現在のピクトグラムの理解度を評価しておく必要があった.令和5年度は,そのための実験を行った.得られた結果から,認知症の高齢者のピクトグラム理解度は低いと言われていたものの,理解度を定量的に測定した研究はこれまでなかった.そのため,今回の実験によって,定量的に認知高齢者のピクトグラムの理解度を測定したことは,今後の研究に,役立つ意義のある実験であった. また,認知症高齢者の方の協力を得る環境も整ったため,今後の研究進捗を見通すことができるようになった.
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は3年間の研究計画の最終年度にあたる,当初の目標である実装実験を目標に研究を進めていく予定である, 実装対象のピクトグラムは,リンク機構を用いたトイレのピクトグラムを予定している,実装前の実験としては,機構の動力源であるゼンマイの作成,さらに,認知症高齢者の理解度調査を行う予定である.実装場所として,九州大学のキャンパスを予定しており,社会包摂型として検証は,ゼンマイが止まった時に,回す人がいるかどうかを実験により測定することを計画している. また,令和5年度に行った「コミュニケーション支援絵記号デザイン原則(JIS T 0103)」の認知症高齢者の理解度調査に関する実験について論文を執筆し,学会誌に投稿する計画である.
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Causes of Carryover |
現在,コミュニケーション支援図記号として使用されているピクトグラムの理解度を,認知症を持つ高齢者に対して,評価しておく必要があり,その実験を行ったため,からくり機構のピクトグラムの制作が遅れた.そのための制作費用としての予算を令和6年度に繰り越す必要があったため,使用予定額との差額が生じた.また,令和6年度は,リサーチアシスタントの代わりにパートタイムにて学術研究員を雇用し,令和5年度の研究の遅れを挽回する計画である.
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Research Products
(1 results)