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2022 Fiscal Year Research-status Report

A Study about the Possibility that Slime Mold and Human Being Synchronize

Research Project

Project/Area Number 22K18458
Research InstitutionAkita University of Art

Principal Investigator

唐澤 太輔  秋田公立美術大学, 大学院, 准教授 (90609017)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 石倉 敏明  秋田公立美術大学, 大学院, 准教授 (90649310)
萩原 健一  秋田公立美術大学, 大学院, 准教授 (30512628)
林 文洲  秋田公立美術大学, 大学院, 助手 (80914580)
Project Period (FY) 2022-06-30 – 2025-03-31
Keywords粘菌 / 変形菌 / 原形質流動 / 心臓音 / リズム
Outline of Annual Research Achievements

人間の心筋の収縮運動と発生機構が、粘菌の原形質流動に極めて類似していることは、以前より指摘されているが、本研究では、アートの手法を用いて両者のリズムを同期させることにある。
2022年度は、和歌山県立自然博物館学芸員の川上新一氏よる粘菌の生態に関する基礎レクチャーの開催や、南方熊楠に所縁のある田辺市で開催された紀南アートウィーク2022の視察等を行なった。その他、粘菌に関する国内外の研究について論文・書籍等で調査した。
また、大学構内で野生種の粘菌の変形体(Fuligo septica)を採取し、その動態をデジタル顕微鏡で録画し、その後編集して映像作品を試作した。かなり人間の心臓のリズムに近いものができたが、変形体は光に反応しやすいので、いかにそれをコントロールするかが今後の課題である。
その他、この音を粘菌の動画に重ね合わせることが可能か、またそのシンクロによってどのような感覚が生じるかを知るために、人間の心臓音をバイタルセンサを用いて計測する実験を行った。ノイズをできる限り減らして録音する方法については引き続き検討していく。これらの映像や音声は、秋田公立美術大学粘菌研究クラブのメンバーと共有しながら、アートとの接続の可能性について議論を行なった。クラブは研究の緩やかなプラットフォームであり、樹脂粘土や毛糸などを使用して作品制作やワークショップを実施した。これらは、はじまりの美術館(福島県猪苗代町)や秋田市文化創造館で披露した。また粘菌の原形質流動をはじめとする動きを言語化する試みとして、オノマトペを造語しパフォーマンスも実施した(つくりかけラボ09大小島真木〈コレスポンダンス〉関連トークイベント「万物は語る」No.3「粘菌」(千葉市美術館))。以上の成果は、秋田公立美術大学粘菌研究クラブ2022活動記録冊子『Cosmographia』vol.3に掲載した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

2022年度の研究では、計画調書の通り、粘菌の原形質流動とシンクロさせる心臓音の録音を行ったが、予想以上に機材の購入・到着に時間がかかり、また機材操作をマスターすることも難しく、多少の遅れが生じている。作品を展開していくためのその他機材は概ね揃えることができたので、2023年度は、これらを活用しながら研究を進めていく。また、ここで実験・考察した内容は、展覧会で公表する他、『Cosmographia』vol.4に掲載し発行する。研究代表者は、引き続き南方熊楠による粘菌に関する言説を調査中であり、その成果の一部は2023年度中に出版予定である。粘菌の原形質流動の撮影は、夏季に集中的に実施し、研究分担者と協力しながら記録・編集していく。

Strategy for Future Research Activity

2023年度は、引き続き文献や観察で粘菌の変形体の動態を調査すると同時に、そこで得られた成果を反映させた作品を制作する。具体的には、同年7月に開催される秋田公立美術大学10周年記念展覧会で展示を行うことを予定している。ここではミクロの存在をできる限り巨大にし、ヒューマンスケールを揺るがすというコンセプトのもと、粘菌をモチーフにインスタレーション作品を展開する。また、ここに人間の心臓音を仕込ませることで、粘菌(の原形質流動)とのシンクロ感を生み出すことを目指す。
研究代表者は、現在(2023年5月)、粘菌とアートに関する論文を執筆中であり、粘菌研究クラブの活動実践の紹介の他、研究で得られた知見などを公表することを予定している。また、樹脂粘土や毛糸等を使用したワークショップを継続的に実施していく。これらは、特に子供たちに粘菌の存在を知ってもらう効果的な手法であると考えている。代表者の所属する大学では、粘菌研究クラブが学際的な研究プラットフォームとして順調に機能しており、今後の研究でも引き続き学生と教職員を巻き込みながら推進・展開していきたい。
研究分担者は、引き続き国内外の粘菌とアートの動向を調査する。同時に、作品制作における補助的業務を行っていく。具体的には、各種ワークショップの補助、2023年7月の展覧会における音響機材等の設定、インストール作業の協力などである。

Causes of Carryover

91円の残額が出たが、これに関しては次年度の消耗品購入費として使用する。

  • Research Products

    (12 results)

All 2023 2022

All Journal Article (4 results) (of which Open Access: 1 results) Presentation (5 results) (of which Invited: 4 results) Book (3 results)

  • [Journal Article] 「異次元の果実の輝き」2023

    • Author(s)
      唐澤太輔
    • Journal Title

      紀南アートウィーク2022「みかんマンダラ」webサイト

      Volume: - Pages: -

    • Open Access
  • [Journal Article] 「赤肉団上の共異体 マヒトゥ・ザ・ピーポーとGEZANの音楽をめぐって」2023

    • Author(s)
      石倉敏明
    • Journal Title

      『ユリイカ』

      Volume: 55-6 Pages: 254-261

  • [Journal Article] 「重層的円環構造をなす生命」2022

    • Author(s)
      唐澤太輔
    • Journal Title

      紀南アートウィーク2021『籠る牟婁ひらく紀南』

      Volume: - Pages: 87-90

  • [Journal Article] 「食と芸術についてのノート 第5回「山になる」「私は我々に食べられる」」2022

    • Author(s)
      石倉敏明
    • Journal Title

      『mahora』

      Volume: 5 Pages: 97-112

  • [Presentation] 作品「ミヂカホコリをととのえる」2022

    • Author(s)
      秋田公立美術大学粘菌研究クラブ(代表:唐澤太輔)
    • Organizer
      はじまりの美術館「日常をととのえる」展
    • Invited
  • [Presentation] 「粘菌の概要」2022

    • Author(s)
      唐澤太輔
    • Organizer
      環境省助成事業 粘菌研修会(八幡平ビジターセンター)
    • Invited
  • [Presentation] パフォーマンス「粘菌のライフサイクルを語る」2022

    • Author(s)
      秋田公立美術大学粘菌研究クラブ(代表:唐澤太輔)
    • Organizer
      大小島真木「コレスポンダンス」関連トークイベント「万物は語る」No.3「粘菌」
    • Invited
  • [Presentation] 「不思議な粘菌の世界を覗いてみよう!」2022

    • Author(s)
      秋田公立美術大学粘菌研究クラブ(代表:唐澤太輔)
    • Organizer
      令和4年度あきたサイエンスクラブ科学講座(美大コース)
    • Invited
  • [Presentation] 「キメラ的抽象性 ー『個』と『群』をつなぐ共異体の想像力」2022

    • Author(s)
      石倉敏明
    • Organizer
      国立民族学博物館 共同研究会「「描かれた動物」の人類学」
  • [Book] 『Cosmographia』vol.32023

    • Author(s)
      秋田公立美術大学粘菌研究クラブ(代表:唐澤太輔)
    • Total Pages
      28
    • Publisher
      秋田公立美術大学
  • [Book] 『新しいエコロジーとアート 「まごつき期」としての人新世』(長谷川祐子編)第三章「「地表空間」をめぐる旅と創造 生の軌道としての民族誌芸術」(pp.81-109)2022

    • Author(s)
      石倉敏明(分担執筆)
    • Total Pages
      336
    • Publisher
      以文社
    • ISBN
      978-4-7531-0369-0
  • [Book] 『日常をととのえる展の記録集』(はじまりの美術館)「日常を再創造すること」(pp.34-37)2022

    • Author(s)
      石倉敏明(分担執筆)
    • Total Pages
      40
    • Publisher
      社会福祉法人安積愛育園 はじまりの美術館

URL: 

Published: 2023-12-25  

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