2023 Fiscal Year Research-status Report
行動解析と数理モデルによる城門防御機能の定量的評価:スポーツ科学からの挑戦
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22K18487
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
山本 裕二 新潟医療福祉大学, 心理・福祉学部, 教授 (30191456)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木島 章文 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (10389083)
横山 慶子 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 准教授 (30722102)
島 弘幸 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (40312392)
奥村 基生 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (90400663)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 桝形門 / 人流 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,島原の乱で実戦で唯一使われたとされる長崎県にある原城の桝形門跡の現地調査,および発掘調査報告書などの文献収集を行った.その結果本丸正門から埋門までの間に,多門櫓に囲まれた幅15.2メートル,長さ47メートル余りの桝形があり左折れ型であった.また,虎口門前にも幅8メートル弱長さ17メートル余りのクランク状の桝形があった.この本丸正門からの桝形の大きさや形状は,松本城などの軍学で言われる5間×8間とは異なっていた.原城の築城は慶長4年(1599)から9年(1604)とされ,松本城の太鼓門桝形は文禄2年(1593)から慶長期とされていることから,築城の時期はほぼ同じであると考えられたが,形状の違いの理由については定かではない. また,松本城太鼓門桝形と同じ形状で大きさを2分の1に再現した空間を設け,行動実験を行い,桝形門内の人流を測定した.桝形門の周りには段ボール製の狭間を設け,そこから水鉄砲で攻撃をする中で,二の門から入り一の門に抜けるまでの動きをドローンにより撮影した.1チーム8名とし,攻守を入れ替えながら5回ずつ行った.結果として,桝形門内での移動が直線的になっていたが,これは松本城太鼓門桝形の二の門手前にある鵜首(堀を渡る橋)の部分を再現していなかったことによるものと考えられた.つまり,鵜首から二の門を通り右折れし,桝形内を通り抜けて再度左折れして一の門から出ていくという,クランク状の形状が桝形門内の人流に大きな影響を及ぼすことが考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,長崎県にある原城の現地調査と関連する文献調査,ならびに松本城太鼓門桝形を再現した行動実験を行った.原城は実戦で使われた唯一の桝形門と言われているが,その形状は軍学で言われている形状とは大きく異なっていたことが明らかになった.また行動実験では,桝形そのものの形状よりは,桝形に入るまでの通路と2つの門の位置関係が桝形門内の人流に影響することが示唆された点が大きな収穫であった.
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Strategy for Future Research Activity |
桝形の形状だけでなく,桝形に入るまでの通路と出てからの通路の位置,幅を変えた形状をデザインし,その中で人流がどのように変化するかを行動実験で明らかにする. そして他者や壁などから受ける社会的な力をモデル化し行動実験の結果を数値シミュレーションによって再現することによって,数理モデルの妥当性を検証する.
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Causes of Carryover |
城門調査の過程で,実戦で使われた桝形門がほとんどないことがわかり,その形状の防御有効性を検証するための他城への実地調査を見送ったことによる. また,行動実験のために狭間の製作等を行ったが,行動実験で明らかになったのは桝形門に入る手前,および出口側の通路の形状であることが分かったため,実験計画の見直しを迫られたことによる. 来年度は,入り口側と出口側の通路も含めた桝形門の形状を変え,行動実験とともに数理モデルによるシミュレーション実験を行う.
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