2022 Fiscal Year Research-status Report
X線CTを用いた非破壊観察による固着資料の文字復元
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22K18495
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Research Institution | Nara National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
上椙 英之 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 研究員 (50600409)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 泰輔 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 主任研究員 (00741109)
上椙 真之 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 散乱・イメージング推進室, 主幹研究員 (20426521)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | X線CT / 位相コントラスト / 墨書 / 被災文化財 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、X線CTを用いて古文書や典籍から墨で書かれたテキスト(以下、墨書)を抽出し、さらにページ単位で仮想空間上に展開・展示する技術の開発を目的とする。 このX線解析における墨と紙との分離という課題に対して、①位相コントラストを用いた屈折率の違いの利用という撮像段階と、②墨と紙との僅かな密度差と組織変化を検出する画像解析手法の開発という解析段階での分離という二段階の実見を行う。 本年度は、先ず、X線の撮像画像上での、和紙上の墨書の視認を目指した。結果、墨の塗布による紙のわずかな密度変化を捉えることで、墨書の輪郭らしき構造を捉える事が出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験の第一段階である和紙上の墨書の抽出を、SPring-8のX線を実験した結果、植物由来の墨と下地の紙とのX線吸収係数に殆ど差が無く十分なコントラストが得ることが難しいと思われていたが、撮像画像からの墨書の視認に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は密度以外の視認原因を探索するとともに、視認度向上のためのアルゴリズムの開発を目指す。
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Causes of Carryover |
当初、二回行う予定であったSPring-8での実験が、採択時期と申請時期のずれにより一回のみの申請となったため、実験一回分の予算を次年度の繰り越しとした。
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