2022 Fiscal Year Research-status Report
Media Exposure and Job-related Outcomes under the Remote Work Environment: An Investigation Using Behavioral Log Data
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22K18538
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
竹内 規彦 早稲田大学, 商学学術院(経営管理研究科), 教授 (40387569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鄭 有希 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (00468828)
竹内 真登 東北学院大学, 経営学部, 准教授 (50805025)
中野 暁 明治学院大学, 経済学部, 講師 (20963135)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | HRM / リモートワーク / メディア接触行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、リモートワークでの勤務環境における個人の「メディア接触行動」(ウェブサイト検索・閲覧、アプリ利用など)と心理的要因(性格特性、仕事や組織特性に関する知覚など)がリモート環境での仕事の成果に与える影響を明らかにすることを目的とする。具体的には、①リモートワーク従事者と非リモートワーク従事者の個人間の比較(個人間差異)、②一個人のリモートワーク時と非リモートワーク時(出社・対面など)での時系列変化の検証(個人内差異)、及び③リモート環境におけるメディア接触行動と心理面の特徴が個人の職務態度・成果に与える効果検証の3つを2022~24年度の3年間で実施する計画である。 研究初年度にあたる2022年度では、上記の①に焦点を合わせた研究活動を行った。具体的には、民間企業に勤務する従業員を対象にした実施した独自の大規模サーベイデータをもとに、調査対象期間にリモートワークをしていた従業員(以下、リモートワーカー)と通常出社であった従業員(以下、ノンリモートワーカー)との間に、仕事への態度・行動・成果面において、体系的な差がみられるかに関する予備的な分析を行った。その結果、リモートワーカーはノンリモートワーカーに比べ、創造性やタスク面でのパフォーマンスが高く、またストレスが低い傾向が確認された。他にも、タイムコントロールや仕事の自律性の面で、リモートワーカーはノンリモートワーカーよりも高い傾向にあることも観察された。一方で、リモートワーカーはノンリモートワーカーに比べ、チームへの貢献に関わるパフォーマンスが低く、また仕事が家庭に悪影響を及ぼす傾向にあることが伺えた。 結果は傾向値ではあるものの、特にリモートワークと従業員の創造性との間の正の関係が伺えた点は非常に興味深い。この関係の背後にどのようなメカニズムが働いているのか、次年度以降の活動にて詳細に検証する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していたデータ収集も順調に行えており、解析結果も予備的なものではあるが、興味深い結果も得られている。次年度に向けて、ログデータを解析する準備も着々と整えられつつある。また、本研究には海外の研究協力者も共同研究者に含まれるが、両国の渡航制限も概ねなくなり、一定期間、対面かつ共同で研究が実施できる環境も整いつつある。以上の点から、順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、リモートワーカーとノンリモートワーカーのグループ間比較に加え、一個人内の時系列的な変化に着目し、リモートワーク時とノンリワークワーク時での仕事の態度・行動・成果の変化量や変化の性質に関して検討を行う予定である。また、サーベイデータと行動ログデータを結合したデータによる解析も本格的に進める。理論・方法の両面で、より高度な知識やスキルが求められるため、それぞれの分野で高い専門性をもつ代表者、分担者、研究協力者との間で緊密な連携をとりつつ、活動を進めていく方針である。
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Causes of Carryover |
①予定していた学会発表の一部が、リモート開催となったため、旅費交通費が当初の予定ほどかからなかったこと、②データ収集について、当初よりも経済的に実施する方法が見つかったためコストを削減することができたことなどが主な理由である。 使用計画としては、①次年度以降に収集するデータのサンプル数を増やすなどデータ面の充実化を進めることと、②成果発表の機会を増やすなど、研究のアウトリーチに活用し、成果公表面でのさらなる充実ことを予定している。
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