2022 Fiscal Year Research-status Report
Errors in Non-Probability Sampling
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22K18552
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
太郎丸 博 京都大学, 文学研究科, 教授 (60273570)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 有意抽出 / 抽出誤差 / 事例研究 / 社会学方法論 |
Outline of Annual Research Achievements |
サンプリング理論は無作為抽出した標本を前提に作られており、有意抽出した標本(以下、有意標本と略称)の性質についてはざっと検索した限り研究が見当たらない。しかし、多くの学問分野で有為標本は活用されており、その性質について理解することは、それらの研究成果を理解する上で重要である。この報告では、有意標本からある変数 Y の母集団における平均値(以下、母平均と略称)を推測する際に、標本サイズと母集団での分散(以下、母分散)が標本誤差(母平均と標本平均の差の平方の平均)にどのように影響するのか調べた。 その結果、以下の2つのことを主張した。1. 有意標本でも標本誤差は、母分散の平方根に反比例する。 2. 有意標本でも、標本誤差は、サンプルサイズの平方根に反比例する。1 については一般的に証明できる。2については有意標本でも independently and identically distributed (iid) という仮定をつけ加えれば証明できることがわかった。 定理1より、有意標本であっても、注目している変数の母分散が小さいほど、標本誤差も小さくなると考えてよい。それゆえ、内部での多様性が小さい集団に焦点を当てるほど、標本誤差は小さくなると期待できる。例えば、内閣支持率を研究する場合、母集団を日本人一般とするよりも京大文学部の教員としたほうが、母分散が小さいと考えられるので、標本誤差も小さくなろう。このように有意標本による少数事例の研究からの一般化は、母分散が小さいほど説得力を増す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね問題なく進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、実際の事例研究で有意抽出がどのように行われているのか調べる。有意抽出がなされる場合、知人などをたどって対象者を探すことになるが、いわゆるスノーボールサンプリングのようなやり方と、影響力があって知人の多い協力者に多数の対象者を紹介してもらう場合の、二つのやり方があるように思われる。これらの実際について調べることが重要だろう。具体的には、知人の社会学者に依頼する予定である。まずは4,5人に話を聞いてみて、それをもとに今後の調査方針を具体化していく。
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Causes of Carryover |
調査が次年度に繰り越しとなったため
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