2023 Fiscal Year Research-status Report
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22K18556
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松井 めぐみ 岡山大学, 教育推進機構, 准教授 (60400652)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | セクシュアルマイノリティ / 発達障害 / 性自認 / 性的指向 / 性表現 |
Outline of Annual Research Achievements |
発達障害とセクシュアルマイノリティの関連性について、WEB調査による実態把握を行った。2023年11月に、調査会社を利用して調査を行い、18歳以上の成人11018人(平均39.47歳)から回答を得た。調査内容は、回答者の属性やセクシュアリティについて尋ねる項目と、発達障害のASDをスクリーニングする質問紙であるAQ-Japanese version(一般成人用)、発達障害のADHDをスクリーニングする質問紙である成人期ADHD検査(Adult ADHD Self-Rating Scale: A-ADHD)であった。現在、セクシュアリティとASDとの関連の分析が行われ、性自認がクエスチョニングであると答えた人は、そうではない人に比べ、AQによるASDのカットオフ得点である33点以上の人が有意に多い結果であった。性的指向に関しては、バイセクシュアル、パンセクシュアル、アロマンティック、アセクシュアルであると回答した人は、それぞれそれ以外の人と比べ、33点以上の人が有意に多い結果であった。またトランスウーマンとトランスマンの2群で比較したところ、トランスマンは33点以上の人が有意に多い傾向が見られ、Xジェンダー中性、両性、不定性、無性の4群で比較したところ、Xジェンダー無性は33点以上の人が有意に多い結果であった。ただどちらも各群の人数が非常に少ないため、より多くの人数の調査による検証が必要である。なおDSD(性分化疾患)やクロスドレッサー、ゲイ、レズビアン、デミロマンティック、デミセクシュアル、リスロマンティックでは、有意な結果は見られなかった。これらの結果から、性自認・性的指向・性表現等と発達障害のASDとの関連の一部が明らかになったが、AQの得点はあくまでもスペクトラム視点から発達障害の傾向の程度を測定しているものであって、診断ではないことを留意する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度に実施予定だった調査が、倫理審査委員会の受入れ先決定に時間を要し、2023年度の実施になったため。しかしながら、当初2023年度に実施予定だった調査も既に倫理委員会を通っており、調査のスケジュール上実施は2024年度になるが、既に実施の準備は整っている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、11月に前年度に実施出来なかった縦断調査の2回目を実施する。それによって、発達障害とセクシュアルマイノリティの関連性に、セクシュアリティに関する自認のゆらぎが影響しているのかどうかを分析し、成果発表を行っていく。また海外の大学のセクシュアルマイノリティ支援の専門部署に調査を行うため、調査内容の作成し、研究倫理審査を受けて、調査の実施を行う。
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Causes of Carryover |
2022年度に所属部署の研究倫理審査提出先の決定に時間がかかったことで,研究のスケジュールに遅れが生じ、2023年度に実施予定だった縦断調査が2024年度実施になったため、その調査費用が次年度使用額となった。縦断調査は2024年11月実施予定で、既に調査会社に依頼してあるため、2024年度はその調査と、海外の大学への調査を実施するのに使用する。
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