2022 Fiscal Year Research-status Report
家庭でできる嗅力の回復・維持・強化につながるにおい嗅ぎ訓練法の開発
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22K18564
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Research Institution | Daido University |
Principal Investigator |
光田 恵 大同大学, 工学部, 教授 (40308812)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
萬羽 郁子 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (20465470)
棚村 壽三 大同大学, 工学部, 准教授 (90612408)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 高齢者生活 / 住環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
被験者(実験協力者)を選出するため、30歳以上52名、20歳代80名に嗅覚検査を実施した。その結果、60歳以上では、約70%が基準濃度では不合格となり、5種類すべてのにおいを嗅ぎ分けるには、1段階~3段階濃度を上げる必要があった。20歳代でも約15%が基準濃度で不合格となり、A:β-フェニルエチルアルコール(バラの香り)、D:γ-ウンデカラクトン(桃の香り)で不合格となるケースが目立った。 嗅覚検査の基準濃度で不合格となった20歳代の被験者を対象として、不合格となった濃度よりも1段階高濃度の試薬を毎日、朝夕2回、2か月間嗅いでもらい、ひと月に1回、各試薬の閾値の測定を行った。その結果、1か月後には閾値の下降は顕著ではなかったが、2か月には、いずれの被験者も1~5段階閾値が低下し、基準濃度よりも低濃度まで嗅ぎ分けられるようになった。一方、基準濃度よりも低濃度まで嗅ぎ分けられるようになった後、2か月間、試薬を嗅ぐのを停止(におい嗅ぎ訓練を停止)し、閾値を測定した結果、閾値が上昇した。 以上より、不合格となった試薬のにおいを毎日嗅ぐことで、その試薬の閾値が低下し、嗅ぎ分けられなかったにおいが嗅ぎ分けられるようになる可能性が示された。また、一定期間におい嗅ぎ訓練を行った後、2か月程度、訓練を停止すると、閾値が元に戻る(上昇する)可能性があることも把握された。今後は、被験者を40名以上確保し、日々のにおい嗅ぎ訓練と嗅力との関係をさらに検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、次の第1~第5の順に取り組む計画であり、1年目~2年目前半は、第1ステップとして、嗅覚検査の不合格者40人以上の被験者を選定することである。そのためには、先行研究から200人以上の検査を実施する必要がある。1年目に132人の嗅覚検査を実施し、不合格者は29人であり、概ね計画通りであった。2年目の前半には、におい嗅ぎ訓練実験の協力者を40人以上確保できるよう進めたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、当初予期していないことが起き、今年度前半に40人以上の被験者数の確保が難しくなった場合にも、すでに確保している被験者のにおい嗅ぎ訓練と並行して被験者の確保に努め、におい嗅ぎ訓練と嗅力の向上の関係について明らかにできるよう検討を進める計画である。
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Causes of Carryover |
被験者選定のための嗅覚検査をまとまった日程で実施できたために、嗅覚検査キッド等に余裕ができ、購入費を抑えることができた。次年度、計画した被験者数を確保するためにさらに被験者募集を行い、嗅覚検査を行う予定であり、翌年度分と合わせて嗅覚検査キッド、試薬等の購入費に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)