2023 Fiscal Year Research-status Report
英文読解指導において教育コストをかけるべき知識・技能の解明
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22K18579
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
卯城 祐司 筑波大学, 人文社会系, 教授 (60271722)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱田 彰 神戸市外国語大学, 外国語学部, 准教授 (50779626)
星野 由子 千葉大学, 教育学部, 准教授 (80548735)
清水 遥 東北学院大学, 文学部, 准教授 (20646905)
高木 修一 福島大学, 人間発達文化学類, 准教授 (20707773)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 英語教育 / リーディング / メタ分析 / 教育コスト / 教育効果 / エビデンス / 系統的レビュー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,英語学習者が英文読解に必要とする知識・技能(すなわち構成要素)の相対的重要度を,メタ分析と構造方程式モデリング(Meta-Analytic Structural Equation Modeling: Meta-SEM)を組み合わせることにより解明しようとしている。さらに,メタ分析の結果を利用し,どのような知識・技能にどれくらいの教育リソースを割くのが英文読解指導の効果を最適化できるのかを検証している。具体的には,①英文読解力とその構成要素の相関関係を扱った文献の収集,②データベースの作成,③研究結果 の統合,および④教室における介入研究を行っているところである。
2年目となる令和5年度は,1年目にデータベース化した論文が報告している相関係数を統合し,英文読解力とその構成要素の相互作用をモデル化した。具体的には,Jeon and Yamashita (2022) でメタ分析された先行研究を対象に,①語彙力,②文法力,③聴解力,④母語読解力,⑤単語認知力,⑥音韻処理力,⑦書記処理力と第二言語読解力との相関係数を再分析し,それがSimple View of Readingモデルにどれくらい当てはまるのかを検証した。メタ分析で統合された相関行列に対し構造方程式モデリングを行い,英文読解力とその構成要素の相対的重要度を算出した結果,語彙力・文法力・聴解力から構成される言語理解力と,書記処理能力の2変数により読解力の大部分を説明できることを示した。この研究成果はStudies in Second Language Acquisition誌(5-year Impact Factor = 5.4)に掲載された。また,メタ分析が,英文読解指導において優先すべきと推定した知識・技能に対し,人的・時間的・経済的コストをかけた指導を行う準備をした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り研究計画2年目の分析を行い,その成果が国際誌に掲載された。また,研究計画の3年目に向けて,メタ分析上で予測される教育効果が教室で再現されるかを実証する準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は3年目の研究計画および発展的課題に着手する。具体的には,2年目で明らかにした,英文読解力とその構成要素の相対的重要度のモデルに基づき,英文読解指導において優先すべきと判断した知識・技能に対し,人的・時間的・経済的コストを変数とした指導を行う。得られた成果については学会や論文投稿という形で発表し,外部機関による客観的な評価を確認しながら研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
2023年度は2つの国際学会での発表を予定していたが、1つ目の学会で新型コロナウイルスに感染し、体調面を配慮して2つ目の学会参加を断念した。2024年度は、断念した学会を含めて参加する予定である。
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