2023 Fiscal Year Research-status Report
STEAM教育の視点から再構築したSDGs木育プログラムの試行と理論探索
Project/Area Number |
22K18584
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
大谷 忠 東京学芸大学, 教育学研究科, 教授 (80314615)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東原 貴志 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (10370850)
田口 浩継 熊本大学, 大学院教育学研究科, 教授 (50274676)
渡邊 茂一 国立教育政策研究所, 教育課程研究センター研究開発部, 教育課程調査官 (50971032)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 木育 / SDGs / STEAM教育 / 脱炭素社会 / 教科横断 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では従来の木育の考え方を大きく変革させ,新たな価値を創造する問題解決的な「学び」として,近年注目されているSTEAM教育の視点を取り入れ,SDGsに基づいた新たな木育の再構築が可能か,またどのような木育プログラムの提案ができるか,その試行と理論的探索を行うことを目的としている。 1年目は,「木育をはじめとする木材利用の普及啓発に関する事例集」を対象として,既存の木育プログラムの調査・収集を行い,STEAMの視点からのプログラムを分析した。その結果,既存の木育の内容には,STEAMの視点が含まれない事例が多く,主に幼児や小学生を中心とした触れる,創る,知るから構成される木育活動が多いことがわかった。また,脱炭素社会を実現するため,木育本来の目的である木材利用の意義について学ぶ最新の内容が含まれていないことを確認した。 そこで,2年目は小学校,中学校における平成27年に改訂された学習指導要領の内容から木育の内容を抽出するとともに,森林・林業白書から,物質生産等に関わる最新の木材利用の意義に関する内容を抽出した。これらの抽出作業によって,SDGsに基づく脱炭素社会の実現に向けた新たな木育の内容について抽出・提案した。これからの内容は,木育本来の目的である木材の良さ,木材の利用の意義に関する内容で構成され,従来の木育における触れる,創る,知る内容を包含しつつも,森林の有する多面的な機能の考え方を出発点とした木材利用に関する意義について学ぶ内容を含んでいた。今回,抽出・提案した木育の内容によって,木育本来の教科横断的に木材の良さや木材の利用の意義について学ぶ内容を抽出することができた。このような内容は,学校教育における総合的な学習(探究)の時間において,教科横断的な学習が行われている現状において,本研究で提案する木育プログラムの内容が適合できる可能性があることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目は,既存の木育プログラムの調査・収集を行い,STEAMの視点からの内容を分析した。その結果,既存の木育の内容には,STEAMの視点が含まれない事例が多く,主に幼児や小学生を中心とした触れる,創る,知るから構成される木育活動が多いことがわかった。また,脱炭素社会を実現するため,木育本来の目的である木材利用の意義について学ぶ最新の内容が含まれていないことを確認した。 以上の1年目の結果を踏まえ,2年目は小学校,中学校において,木育本来の横断的な学びが,学校における教科を乗り越えて実施できていない点に注目し,平成27年に改訂された学習指導要領の内容から木育の内容を抽出した。さらに,脱炭素社会に向けた最新の木育の内容について抽出するため,森林・林業白書から,物質生産等に関わる最新の木材利用の意義に関する内容を抽出した。これらの抽出作業によって,SDGsに基づく脱炭素社会の実現に向けた新たな木育の内容として,木材の良さ,木材の利用の意義に関する内容で構成する最新の木育の内容を抽出・提案した。最新の木育の内容は,従来の木育における触れる,創る,知る内容を包含しつつも,森林の有する多面的な機能の考え方を出発点とした新たな木材利用に関する意義について学ぶ内容を含んでおり,本研究において取り上げるSDGsに基づいた新たな木育プログラムの中核となる内容を抽出・提案できた。また,新たな木育の内容は,STEAM教育の視点を含んでおり,学校おける総合的な学習(探究)の時間において,木育を通した教科横断的な学習が推進できる可能性があることを見出した。 以上の1年目及び2年目の成果を踏まえ,本研究における木育プログラムの理論探索に向けて成果を示すとともに,プログラム試行のための準備が整ったので,「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目は,従来の木育の内容に関して,「木育をはじめとする木材利用の普及啓発に関する事例集」を取り上げ,その内容について調査・収集を行い,STEAM教育の視点から内容について課題を抽出した。その結果,既存の木育の内容には,STEAMの視点が含まれない事例が多く,主に幼児や小学生を中心とした触れる,創る,知るから構成される木育活動が多いことがわかった。また,脱炭素社会を実現するため,木育本来の目的である木材利用の意義について学ぶ最新の内容が含まれていないことを確認した。 以上の1年目の結果を踏まえ,2年目は平成27年に改訂された学習指導要領の内容及び森林・林業白書の内容から,小学校,中学校において試行する木育の内容を抽出した。これらの抽出作業によって,SDGsに基づく脱炭素社会の実現に向けた新たな木育の内容として,木材の良さ,木材の利用の意義に関する内容で構成する最新の木育の内容を抽出・提案した。 最終年度に当たる3年目は,抽出・提案した木育の内容を学校における実際の授業において試行し,新たな木育プログラムについて検証し,その理論的な考え方について探索する予定である。本プログラムの試行によって,STEAM教育の視点を取り入れた木育の再構築により,世界的に喫緊の課題になっているカーボンニュートラル実現に向けた次世代の教育として,総合的なアプローチ教材としての新たな木育について検討する。
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Causes of Carryover |
3年目に予定している学校での授業試行において,事前の打ち合わせ(交通費,旅費)や準備経費(物品費)を用意していたが,次年度4月以降に進めることになったため,繰り越しとした。
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