2023 Fiscal Year Research-status Report
Study on the analysis of social studies vocabulary and improvement of teaching using the corpus of Japanese junior high school social studies textbooks.
Project/Area Number |
22K18602
|
Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
深谷 圭助 中部大学, 現代教育学部, 教授 (10425027)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 千秋 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (00159758)
渡部 竜也 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (10401449)
角田 将士 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (70432698)
|
Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
|
Keywords | 社会科教育 / 教科書コーパス / 中学校歴史教科書 / 検定教科書 / 教科書語彙 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、日本の中学校社会科検定教科書(地図帳を除く)における教科書語彙にどのような傾向がみられるかを、言語学的視点から分析することで、中学校における社会科教科書を教材とした指導を効果的にすすめる指針を明らかにすることを目的としている。それに加え、本研究の研究成果を、出版物として刊行することを目的としている。 2023年度における研究実績としては「中学校社会科教科書コーパス形態素解析による頻出語に関する研究―「なぜ」の頻出度とその文脈の検討―」『現代教育学研究紀要』第18号(掲載予定)を原著論文として投稿したことが挙げられる。同論文は、育鵬社、教育出版、日本文教出版、東京書籍、山川出版社の計6社が刊行している中学校検定教科書(歴史)において、「思考力」を問う教科書語彙である「なぜ」について、各検定教科書における同語彙の出現状況について、コーパスデータを用いて量的に調査し、さらに、それぞれの「なぜ」がどのような文脈(前後の語彙)に置かれているのかを質的に調査・分析した。その結果、「なぜ」の出現頻度数は、それぞれの教科書会社によって大きく異なり、例えば育鵬社の中学歴史教科書と教育出版の中学歴史教科書における「なぜ」が極端に少なく、山川出版社の歴史教科書が極端に多いことが明らかになった。また、「なぜ」がどのような文脈上で用いられているかについて分析調査を試みたところ、その使用文脈も検定教科書によって大きく異なることが明らかになった。これらのことから、検定教科書であっても、教科書全文コーパスデータの分析により、語彙の出現度合や同一語彙の使用文脈が異なることが明らかになり、教科書を使用した教科指導のあり方に新たなアプローチを提案できる可能性が高くなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年6月に中学校社会科教科書コーパスに形態素解析処理を施したデータが完成し、「ひまわり」に実装した。 このことを承けて、2023年6月8日にディジタルアシスト永田を交え、研究代表者、研究分担者を含めた5名で、同データの取り扱いについて、「ひまわり」の運用についての説明と質疑応答を行った。なお、形態素解析には、国立国語研究所「現代書き言葉UniDic」を使用した。 2023年8月2日と8月23日の研究会では、構築した中学校社会科教科書コーパスを利用して、6社の社会科検定教科書からどのような語彙的特質が見られるのかについて議論をした。 2023年12月23日研究会では、「なぜ」「きびしい」と言った、従来、社会科教育において重要語彙と考えられてきたとは言えない副詞、形容詞について検討をしてきた。これらの社会科頻出語の頻出度が、検定教科によって異なるのか、そして、その頻出語がどのような文脈で使用される傾向があるのかについて検討を行った。 これらの検討を経て、2024年3月に「中学校社会科教科書コーパス形態素解析による頻出語に関する研究―『なぜ』の頻出度とその文脈の検討―」『現代教育学研究紀要、第18号)に投稿をし、査読結果を踏まえ、修正をしているところである。
|
Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、研究成果を全国社会科教育学会、日本教育方法学会等で自由研究発表、ラウンドテーブルを予定している。また、投稿論文の執筆を研究代表者、研究分担者で行うことを予定している。 さらに、研究計画で予定されている、中学校社会科授業で使用することを想定した「中学社会科重要語彙の手引き」の作成と「社会科語彙研究にもとづく社会科指導資料」の作成を行うことを予定している。編集方針、分担執筆箇所については検討中である。
|
Causes of Carryover |
研究打合せについては、スケジュールの都合で、実際に集まることが難しかったため、オンラインで行ったために、研究打ち合わせのための旅費は使用しなかった。また、学会発表の出張旅費も、発表をしなかったために使用しなかった。以上の理由により、次年度(令和6年度)使用額が生じた。令和6年度の使用計画として、夏に研究打合せを、秋に学会発表(日本教育方法学会もしくは、全国社会科教育学会)を考えている。
|