2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K18645
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小川 正晃 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (00716186)
|
Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
|
Keywords | 注意 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、期待どおりに報酬が得られずに予想と実際の報酬の差である期待外れが生じる際にその学習を促進する注意、すなわち消去学習を促進する注意の神経メカニズムを解明する。今年度は、サブ秒単位で生じる報酬の期待外れに対する行動を定量的に評価するラット行動モデルを開発し、その神経活動を計測し、さらにミリ秒単位で神経活動を操作する光遺伝学法と融合することで、消去学習を因果的に促進する注意の神経機構について検討した。 まず頭部固定下のラットに、報酬である水の提示口と一体になったレバーを操作して確率的な報酬を獲得する行動を学習させた。その後、報酬提示前に新しい条件刺激を複数加え、一部の刺激後の報酬を減らし、報酬に関する期待外れを生じさせた。新規に導入された期待外れに対して注意が高まり、報酬に対する期待を消去する学習が促進されるはずである。この学習を促進する注意を担う神経基盤として、前脳基底部のアセチルコリン(ACh)作動性細胞から記憶に関わる海馬に投射する神経回路に着目した。 サブ秒単位の解像度で海馬におけるACh量を計測したところ、期待外れに対して注意が高まる学習の初期に上昇し、ACh量が多いほど報酬の有無を確認する時間が増加した。このことは、海馬におけるAChの増加が、報酬の消去学習を促進する注意を担う可能性を支持する。次に期待外れが生じる瞬間の海馬におけるAChの上昇が因果的に消去学習を促進するか検討するため、ACh放出をミリ秒単位で制御できる光遺伝学法と融合する行動課題を開発した。その課題において、前脳基底部から海馬に投射するACh細胞の活動を、期待外れが生じる瞬間特異的に光遺伝学法によって刺激すると、消去学習が促進されることを見出した。今後詳細なデータ解析を行う。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた先端的な神経活動計測技術・神経活動操作技術と、行動課題を組み合わせることで、消去学習を促進する注意の神経メカニズムの一端を解明できたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度に得た実験結果について詳細なデータ解析を進める。さらに、期待外れが生じるサブ秒単位のタイミングのACh量の増加が下流脳領域の神経細胞の活動に及ぼす影響について検討するために、神経回路活動操作技術と単一細胞レベルの多数細胞同時活動イメージング技術を組み合わせるための基盤技術を開発する。
|
Causes of Carryover |
当初予定していた物品の購入が半導体不足のため不可能になったため、翌年度に繰越してその物品の購入に充てる予定である。
|
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] A dopamine circuit for active switching toward the pursuit of future reward2022
Author(s)
Seiya Ishino, Taisuke Kamada, Gideon A. Sarpong, Julia Kitano, Reo Tsukasa, Hisa Mukohira, Fangmiao Sun, Yulong Li, Kenta Kobayashi, Naoki Honda, Naoya Oishi, Masaaki Ogawa
Organizer
Neuroscience 2022
Int'l Joint Research
-
-