2023 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular analysis of the effects of environmental factors on higher brain function using iPSC technology and mice
Project/Area Number |
22K18655
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
中澤 敬信 東京農業大学, 生命科学部, 教授 (00447335)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 3q29領域欠失 / 疾患モデルマウス / ultrasonic vocalization / 環境エンリッチメント |
Outline of Annual Research Achievements |
母マウスを環境エンリッチメント下で飼育することにより、仔マウスの3q29領域欠失内の遺伝子群の発現が増加することを見いだしています(中澤ら、未発表データ)。本年度は、3q29欠失マウスの超音波発声や社会性行動といったコミュニケーション異常の表現型が、母マウスの環境エンリッチメントにより、回復することを調べるとともに、環境エンリッチメント下で飼育した母マウスから産まれた仔マウスの脳内の変化を分子レベルで明らかにすることを目的として研究を実施し、以下の結果を得ました。 ①昨年度までの研究で、母体の環境エンリッチメント処置により、3q29欠失マウスにおける新生児期のultrasonic vocalization (USV)異常が回復することが明らかになっていました(未発表データ)。本年度は、USVについて、さらに詳細に解析したところ、3q29欠失マウスでは、複雑なcallパターンの割合が減少していることが明らかになりました。また、母体の環境エンリッチメント処置により、複雑なcallパターンの割合が野生型マウスのものと同程度まで回復することが明らかになりました。複雑なcallパターンの割合は、脳の発達レベルと関連することが示唆されており、この結果は、母体の環境エンリッチメント処置により、胎児マウスの脳発達が回復することを示唆しています。 ②USV実験の結果より、母体の環境エンリッチメント処置により、3q29欠失マウスの脳発達異常が回復することが示唆されました。行動試験結果に関するメカニズム解析を推進したところ、母体の環境エンリッチメント処置により、3q29欠失マウスの各種神経細胞マーカーの発現量が野生型マウスのものと同レベルまで回復することが明らかになりました。この結果は、各種神経細胞の発達が、母体の環境エンリッチメント処置により影響を受けることを示唆しています。
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