2023 Fiscal Year Research-status Report
かわいさは何によってきまる?ー距離と角度と発達・進化的観点からのアプローチー
Project/Area Number |
22K18660
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
加藤 正晴 同志社大学, 研究開発推進機構, 准教授 (20408470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹原 卓真 同志社大学, 心理学部, 教授 (10347742)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 顔魅力 / ベビースキーマ |
Outline of Annual Research Achievements |
今までに多くの研究により、ベビースキーマと呼ばれる子どもに特徴的な風貌(大きな瞳、大きな額に対して相対的に小さな顎、小さな唇など)は養育行動を誘発し、同時にかわいいという情動を喚起し、脳の報酬系を賦活させることが示されてきた。しかし、なぜかわいいという情動をひきおこすきっかけがベビースキーマでないといけないかについては、何もわかっていない。 本研究では、向かい合う2者の身長差および距離感がある一定の条件を満たすとき保育者・ベビースキーマを特徴づける顔の見え方となり、魅力の上昇につながるのではないかと考え、この仮説を検証する。
2年目は、撮影角度が異なっても常にカメラ方向に視線を向けるアイコンタクト可能な顔画像を作成し、実験を行うこととした。この変更のため、画像作成方法をゲーム制作プラットフォームを用いた3DCG方式とした。刺激の作成に苦労したが、合計8名の日本人の3DCGモデルを完成させた。このモデルを用いて実験を行ったところ、前年度と同様、ある一定の撮影角度および距離において最も魅力が高くなることが示された。一方で細かい部分については再現されなかった。 原因として、1. 参加者と顔画像がアイコンタクトしたことによる効果、2.ネット調査のため参加者の調査への取り組み度合いが低かった(質問へ適切に回答していなかった)可能性、3. CGモデルの撮影距離が昨年までと異なることによる影響、などの複数の可能性が考えられた。特に2と3については望ましい変数でないため、実験の改良が望まれる。 今年度は、撮影角度および距離の顔魅力に与える影響の文化差を検討するために、コーカソイドの3DCGモデルも8名作成した。来年度以降はこの顔画像を用いて欧州でも実験を行う予定です。ドイツの協力研究者と研究実施に向けて検討を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アイコンタクト可能な顔画像を作成することにかなりの時間がかかったが、そのおかげで満足のいく実験が行えることとなった。同時にコーカソイドのモデルも作成したため、文化差の実験を行える準備もできた。一方で、アイコンタクト可能な顔刺激を用いた実験では、結果が想定通りでなく、その理由として実験方法の変更によるアーチファクトも考えられたため、再実験が必要な状況となった。このように、予定より進められた部分もある一方で、想定と異なる結果を得たため追加の実験が必要となる部分もあった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、研究実績の概要で示した2および3の原因を排除するために追加の実験を行う。その後、文化の違いを検討するために、欧州での調査も行う予定である。 昨年までオンライン調査を行う際に用いていた調査プラットフォームが研究環境の変化により使えなくなった。そのため、次年度は自前で構築する必要がある。この目処は立っている。次年度は年度開始からオンライン調査の環境整備を行う。その後、その後国内におけるオンライン調査を行い、データ分析ののち、さらなる追加調査が必要ない場合、欧州にてオンライン調査を行う予定である。
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Causes of Carryover |
前年度の実験実施が一回にとどまったため、執行する金額が予定よりも減った。 翌年度は実験を複数回行うことや、そのうち一回は海外で行うこと、オンラインアンケート環境の再構築などに費用が必要となるため、繰越予算も使って計画を実行する予定である。
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