2023 Fiscal Year Research-status Report
Study of holonomic constants using algebraic analysis
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22K18668
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉永 正彦 大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (90467647)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | マグニチュード / ホロノミック定数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではホロノミック定数の間に成り立つ関係式のメカニズムを明らかにすることと、距離空間の不変量であるマグニチュードのホロノミック性やマグニチュードを背後から統制する構造の解明をテーマとしている。 ホロノミック定数に関しては、「予想の定式化」を当初からの目標としているが、今年度、微分方程式のある種の(冪指数の実部が正の)確定型特異点を使って定式化する構想を暫定版の予想として、1月に神戸大学で行われた超幾何微分方程式の研究集会で発表をした。その際に専門家から多くのコメントがあり、論文化して発表できるレベルに持っていくためのある種の基準がある程度明確になった。具体的には、Kontsevich-Zagierの周期に関する予想との関係を明確にすることが重要であるとの認識に至った。 マグニチュード関係では、離散モース理論を使ったマグニチュードホモロジーの研究が進み、論文が出版された。この研究は、ポスドク研究員とともに、距離空間が一点に縮むときのマグニチュードのふるまい「一点性」について調べ、「期待されること」と「期待に反する現象」の両面で成果を得たので論文としてまとめ、専門誌に投稿した。田嶌氏、浅尾氏と共同で、metric fibration と呼ばれる空間のマグニチュードホモトピー型について詳しく調べた。2023年12月にTom Leinster氏をはじめとし、マグニチュード関係の多くの研究者を招いて国際研究集会 Magnitude 2023 を実施し、当該分野の最新成果の共有を図った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ホロノミック定数の関係式に関する暫定的な予想を超幾何微分方程式研究集会で発表し、専門家と議論をしたことで、研究の方向性が明確になった。マグニチュードについても、「一点性」に関してこれまで知られていなかった基本的な性質を確認することができた。基本的な結果で、Gromov-Hausdorff位相に関するマグニチュードの連続性/非連続性に関する理解が大きく進んだ。これは当初想定はしていなかったが、研究としてはおおむね順調に進展していると考えています。
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Strategy for Future Research Activity |
ホロノミック定数については、目標の「予想の定式化」とその妥当性の確認を目指す。10月にオーストリアで行われる微分方程式の代数的研究に関する研究集会への出席を要請されており、それまでにめどを立てたい。マグニチュードについては、田嶌氏、浅尾氏との共同研究が進展中で、この研究の完成を目指す。また、「一点性」の研究をさらに進め、Gromov-Hausdorff位相に関して距離空間が別の距離空間に収束する際のマグニチュードのふるまいに関する基礎的な性質を確立したい。
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Causes of Carryover |
国際研究集会 Magnitude 2023 を開催した際に、招待講演者の旅費が当初の想定よりも低く抑えられたことが主な原因である。今年度も国内での研究集会を開催するなど、最新成果の情報共有のために有効に使いたいと考えている。
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