2022 Fiscal Year Research-status Report
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22K18670
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
太田 泰広 神戸大学, 理学研究科, 教授 (10213745)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 可積分幾何 |
Outline of Annual Research Achievements |
曲線の運動を記述する短パルス方程式や微分型非線形シュレーディンガー方程式階層と密接な関係がある、massive Thirring方程式系に対して、余分のタウ函数を導入すれば双線形形式の導出が単純化され、簡約条件を課していない二次元戸田格子方程式階層の双線形方程式と、離散独立変数に対するただ一つの周期簡約条件だけから、発展方程式を与える双線形形式を得られることが分かった。これによって、微分作用素に対する対称性によって簡約条件を記述する従来の方法を取ることなく、離散的なシフト演算で現れる因子に対する簡約条件のみによって、方程式とその解を導出することが可能となり、連続系だけでなく離散系に対しても様々な解を容易に構成できるようになった。可積分性を保つ離散化においては、結合方程式系の複素共役性などの付加条件を満足する離散化は困難を伴うことが多いが、簡約条件を離散変数だけで記述できるようになったことは、非線形可積分系の離散化における新たな方法を提供する可能性がある。KPIおよびKPII方程式の曲線波解として、放物線型の波面をもつ有限時間で爆発する解が、エアリー函数を成分とする行列式型タウ函数で与えられることが知られている。そのタウ函数の時間空間変数に複素座標変換を導入することによって、正則な曲線波解をエアリー函数の積分を用いて構成できることが分かった。特異点を回避する方法が分かったことによって、応用上重要な解を比較的容易に構成できる可能性が広がった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
可積分幾何に現れる運動方程式系に対して、解空間の対称性に基づく理解が進んだから。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、可積分幾何に現れる曲線、曲面の動力学に関して、双線形形式と対称性に基づく研究を推進していく。
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Causes of Carryover |
解の構造の表現論的、特殊関数論的解析を次年度以降に集中して行うこととしたため。研究分担者との表現論的、特殊関数論的方法に基づく対称性による解空間の構成の研究に使用する計画である。
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