2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of low-temperature magnetization measurement system for small single crystals
Project/Area Number |
22K18681
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
芝内 孝禎 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (00251356)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 磁化測定 / 希釈冷凍機温度 / 磁場勾配 / ファラデー力 / メンブレン / キャパシタンス測定 / 微小単結晶 / 磁気トルク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、希釈冷凍機温度(数十ミリケルビン)までの極低温領域での、数十マイクログラム級の微小単結晶試料の磁化の精密測定を可能にする装置を開発することを目的としている。現在極低温領域の磁化率測定手法として最も信頼性の高い、グラジエント型超伝導マグネットを用いたキャパシタンス法によるファラデー力測定を改良し、最近市販が始まったメンブレン型表面応力センサーと組み合わせ、微小単結晶試料での磁化測定の実現を目指している。微小単結晶試料をメンブレン上に配置し、グラジエントマグネットにより鉛直方向に磁場勾配をつける。これにより、試料の磁化に比例したファラデー力が鉛直方向に働き、メンブレンがたわんで、その変位量をキャパシタンス法により測定する。本研究で開発する極低温磁化精密測定システムは、外部磁場に勾配をつけるため立方晶など磁化異方性のない試料での測定も可能であり、かつキャパシタンス測定のため希釈冷凍機温度までの測定が可能であるという、ファラデー力測定の特徴を生かしながら、微小試料での測定を目指すものである。今年度は、メンブレン型応力センサーの裏側に金蒸着を行い、可動電極との間でコンデンサを構築し、キャパシタンス測定の室温における予備測定を行い、原理的に測定可能であることを確認した。それと並行して、グラジエントマグネットの動作確認を行った。今後は極低温における測定システムを構築し、実際の試料における測定をおこなう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、最新の微小電気機械システム(MEMS)デバイスの進歩を取り入れ、最近市販が開始されたメンブレン型表面センサーを調達し、それに加工を加えてシステムを構築する。希釈冷凍機温度領域の磁化測定では、グラジエント型超伝導マグネットを用いたキャパシタンス法によるファラデー力測定が確立しているが、試料をワイアで固定してその変位量でファラデー力を測定するため、比較的大きな試料を用いる必要がある。この試料支持の部分を改良し、試料の小ささに伴う小さなファラデー力をメンブレンの柔らかさによって大きな変位量に置き換えるというアイディアに基づいている。変位量を発熱の少ないキャパシタンス測定により評価するため、薄いシート状の試料台と支持メンブレンの裏側に金蒸着し、可動式の対向電極との間でコンデンサを形成する。メンブレンは厚さが非常に薄く、極めて壊れやすいデバイスであるため、このような加工にはノウハウが必要となるが、今年度の研究によりこの重要な部分をクリアしている。室温におけるテストも順調に進んでおり、低温実験に進める段階である。以上のように、本研究はおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度の研究による試験段階を経て、2023年度では、低温での実験を行い、まずは重力による変位量の校正を行う。さらに、実際の試料を用いて磁化測定が可能であるかどうか、また問題点の洗い出しなどを行う予定である。特に、ファラデー力の測定では、試料の傾きによるトルクの寄与を排除することが重要となる。特に、試料が磁化の異方性を持つ場合には、試料の結晶軸と印加磁場の方向のずれにより、磁気トルクが発生し、キャパシタンスの変化をもたらす。この寄与は磁場勾配をオフにすることである程度評価可能であるが、本研究で用いるメンブレン型表面応力センサーでは、支持レバーの根本にピエゾ抵抗素子が配置されており、この磁場方向のずれによる磁気トルク成分をピエゾ抵抗測定により精密に検出可能である。本研究では、試料ホルダ全体を2軸のゴニオメーター上に配置し、このピエゾ抵抗を測定しながら角度を調整できるようなシステムを構築し、試料の傾きによるトルクを完全に排除したファラデー力測定を可能にすることを目指す。
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Causes of Carryover |
2022年度では、デバイス加工のノウハウ取得および測定システム構築のため、低温実験を行わず、2023年度に行う計画とした。これは、全世界的なヘリウムの供給不足による液体へリウム価格高騰に対応するため、集中的に低温実験をスケジュールし、効率を高める必要があると判断したためである。
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