2022 Fiscal Year Research-status Report
Emergence of Room Temperature Supercondutor under Ambient Pressure
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22K18692
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
秋光 純 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 特任教授 (80013522)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀金 和正 岡山大学, 自然生命科学研究支援センター, サイテック・コーディネーター(特任) (10406829)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 室温超伝導 / ボロン系 |
Outline of Annual Research Achievements |
超伝導(Superconductivity)はKamerlingh-Onnesによって、1911年に発見された。 超伝導には予想外の特色が多く有るが、その一つは電気抵抗=0、他は磁場を排除する性質(マイスナー効果)である、なぜ、このようなことが起きるのであろうか。それは超伝導は量子力学が巨視的に(マクロに)現れているからである。そのため大変多くの応用が考えられており、それを列挙すると、1)超伝導量子干渉計、2)リニアモーターカー、3)MRI、4)超伝導マグネット、5)大型加速器、6)超伝導電力貯蔵等である。 しかし、このような多くの応用が考えられている超伝導にも大きな欠点がある。それは通常、超伝導は極低温(~10K(-260℃))でしか起こらないからである。もし、室温で実現する超伝導物質(室温超伝導物質)が見付かれば、まさに物理学の革命と言っても良いであろう。実際、多くの人が物理学の大きな夢として室温超伝導物質の実現を挙げている。 我々はMgB2の発見後、ボロン系での新超伝導物質を探索中、TiB2において350K附近で、超伝導に起因すると思われれ磁化の明らかな変位(落ち込み)を観測した。ただし、その体積分率は0.1%程度で有り、明らかにTiB2の超伝導ではない。その物質の本質を探るために、異なる作成過程(①アーク炉による作成、②高圧高温下での作成(これは愛媛大学の入舩研究室との共同研究)③高周波炉での作成)の三つの方法を同時並行して行っている最中である。時々、超伝導に起因していると思われる緩やかな磁化の減少を観測しているが、残念ながらsharpな磁化の減少は観測されていない。詳しくは次の欄で述べる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
我々は偶然TiとBの化合物の中に新しい化合物が出来ていると仮定して、種々の作成方法を試みている。今まで試みた結果を列挙すると次のようになる。 1) TiB2に歪みを与えて、他の相が出来ることを期待してTiB2母物質を高圧、高温(20GPa,1400℃)で焼成したが、相変化は検出出来なかった。2) ボロン系の化合物の中に少量のCが含まれている可能性があるので、BのサイトにCが置換されることで超伝導性が発現するかを調べるためTi:B:C=1: 1:1で高圧合成を試みた(201GPa、1500℃、30分)。しかし、TiC、TiBが合成され、高いTcの超伝導は発現しなかった。3) BとCとの化合物でBC3を合成することが出来たため、別のやり方でB:C=1:3で高圧合成が出来ないか試みた(20GPa、1300~1400℃、30分)。しかし、ダイヤモンドが合成されて目的の化合物は出来なかった。4) TiB2が余りにmetallicなので、over-dope状態に成っている可能性もあると考え、Ti siteをAl3+、Mg2+で置換してみたが、磁化で見る限り超伝導は発現していない。5) TiB2自身は高圧下でも大変安定な物質なので、Ti-Bの他の化合物(例えば、Ti3B4)が超伝導になる可能性が期待されたので、Ti:B=3:4の試料で高圧合成を試みた。Ti3B4の化合物はほんの僅か出来たが超伝導は発現しなかった。 6) その他の可能性としては、arcの電極に含まれるイットリウム(Y)、タングステン(W)等、を含むボロン化合物を合成してみたが、いずれも超伝導は発現していない。 現在試みたことは以上であるが、実験上で新しい知見も得られたので、それをより発展させていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
この一年間は、TiB2の化合物の中に偶然含まれている新物質を見付ける方針で、1) 不純物として含まれる可能性がある物質、2) 主にアークで作成しているので、その時偶然出来る可能性があり、まだ作成されていない物質等について探索してきた。これらは偶然見付かる新物質であるが、この方法では何も成果が出ない可能性がある。それで今年度はもう少し幅を広げて、ボロン系を中心とした新しい系を探索していきたい。 現在の所、Tiのみに絞らずに、V、Nb、Zr等に拡大していきたいと思っている。
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Causes of Carryover |
初年度においては、本科研費は分担者として堀金和正氏にお願いしてきたが、氏が他の本務に転職されたので、その後は私自身が一人で行ってきた。 しかし、これでは本務の進行状況に支障をきたしていたので非常勤職員として外部から雇用を試みたが、金銭面で折り合わず雇用出来なかった。それで、この分野の専門家である秋光正子(2年前までは非常勤職員として雇用していた)を本年の2月から雇用したい旨、事務に相談した所、「問題ない」という許可を得たので2024年3月まで雇用することにして、残りの使用額を秋光正子の人件費として使用する予定である。
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Research Products
(13 results)
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[Journal Article] Origin of unexpected Ir3+ in superconducting candidate Sr2IrO4 analyzed by photoelectron holography2023
Author(s)
R. Horie, T. Matsushita, S. Kawamura, T. Hase K. Horigane, H. Momono, S. Takeuchi, H. Tomita, Y. Hashimoto, K. Kobayashi, Y. Haruyama, H. Daimon, Y. Morikawa, M. Taguchi, J. Akimitsu
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Journal Title
Inorganic Chemistry
Volume: 62
Pages: 10897-10904
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] New magnetic intermediate state, “B-phase”, in the cubic chiral magnet MnSi2022
Author(s)
M. Ohkuma, M. Mito, M. Pardo-Sainz, Y. Kousaka, S. Iwasaki, K. Ohishi, J. Akimitsu, K. Inoue, V. Laliena, and J. Campo
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Journal Title
APL Materials
Volume: 10
Pages: 041104(1-6)
DOI
Peer Reviewed
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