2022 Fiscal Year Research-status Report
単粒子X線レーザーイメージングの実現に向けたグラフェン溶液セル
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22K18698
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 明大 北海道大学, 電子科学研究所, 准教授 (20781850)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 憲慈 北海道大学, 工学研究院, 助教 (10732985)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | X線自由電子レーザー / 単粒子イメージング / グラフェン |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)大面積自立グラフェン膜の実現:電子顕微鏡用の試料ホルダとして直径~1-2 um程度の自立グラフェン膜がすでに市販されている。しかしながら、これをX線レーザーイメージング測定へ応用すると、X線のサイドローブとグラフェンを支える孔あきカーボン膜がかすかに干渉し、データ解析上無視できない背景散乱が発生するという課題があった。まず、自立膜の大面積化のため、多層グラフェンを安定的に合成できる化学気相成長(CVD)レシピを探索した。さらに、孔あきカーボン膜つきCuグリッドへの転写プロセスにおいて、洗浄工程等を洗練化することで、市販品の100倍以上の面積をもつ自立グラフェン膜を実現した。 (2)自立グラフェン膜からの背景散乱強度計測: SACLAで開発を進めるX線レーザーイメージングシステムを用いて、大面積自立グラフェン膜からの背景散乱強度を計測した。生体粒子測定用に独自に製造した、非常に薄く(20 nm)表面粗さが小さい窒化ケイ素(SiN)薄膜と比較したところ、低空間周波数領域ではSiN薄膜からの背景散乱強度が低い一方で、数ナノメートルの実空間構造に対応する高空間周波数領域では、自立グラフェン膜が優れていることが明らかになった。 (3)自立グラフェン膜上に展開した金属ナノ粒子のシングルショット回折パターン測定:作製した自立グラフェン膜が試料支持膜として機能するかを確かめるため、Auナノ粒子溶液を自立グラフェン膜に滴下・自然乾燥させ、光学顕微鏡と電子顕微鏡で評価した。試料展開による自立グラフェン膜の破損は見られず、SiN膜と同様にAuナノ粒子を保持できることを確認した。さらに、SACLAにおいてAuナノ粒子からシングルショット回折パターンを取得することにも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画にしたがって、大面積自立グラフェン膜からの背景散乱強度を計測した結果、特定の空間周波数においてSiN薄膜よりも優れていることが確かめられたため。加えて、自立グラフェン膜上の金ナノ粒子からシングルショット回折パターンを取得できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度に取得したX線レーザーデータの解析を進め、大面積自立グラフェン膜の作製プロセスに関する知見とともに論文にまとめる。さらに、グラフェン溶液セル化に向けた研究をスタートする。まずは、これまで開発してきたSiN薄膜を窓材に用いた溶液セルと同じデザインで試作品を作製する予定である。現状よりも自立膜の面積を拡大する必要があるため、現状の多層グラフェンで可能な自立膜の最大面積を、歩留まりや表面のコンタミネーションと関連付けながら探索する。その結果によっては、CVD合成時の基板として、現状のCu箔に加え、グラフェン層数のさらなる上積みが期待できるNi箔の利用も積極的に検討する。
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Causes of Carryover |
主に、市販のグラフェン購入費とオープンファシリティ利用料が予定よりも抑制できたため。繰り越した予算は、X線レーザー測定のための旅費に加え、論文掲載費などの成果発表に関連した経費に利用予定である。
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