2022 Fiscal Year Research-status Report
広帯域インコヒーレント放射光の可干渉性を利用する革新的光技術の探索
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22K18705
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
加藤 政博 分子科学研究所, 極端紫外光研究施設, 特任教授 (30185871)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 放射光 / 干渉 / 光子 / 電磁波 / 電子 / アンジュレータ / 干渉計 / 分光器 |
Outline of Annual Research Achievements |
近赤外から紫外の波長領域において、広帯域・インコヒーレントな単一光源からの光をビームスプリッタで分離することで相互に可干渉な2つの光ビームを作り出し、超高速分光、高分解能断層撮像、超高解像度顕微鏡などへ応用している例がある。本研究では、その基盤技術として、放射光源から相互に可干渉な光ビームを取り出すことに挑戦している。さらにその応用法の開拓を目指す。2022年度には、紫外線領域でのアンジュレータ放射の可干渉性の基礎データとして、アンジュレータ放射波束の時間構造の再構成を試みた。超短パルスレーザーの分野で実績のあるSPIDER法を用いることで、アンジュレータ放射波束がフェムト秒オーダーの有限サイクル波形を有することを実証することができた。また、ストレージリングにおける単一電子蓄積技術を確立した。ダイナミックレンジの大きい光電子増倍管を利用し、単一電子蓄積を放射光強度観測で確認する手法を確立した。また、単一電子を2時間以上周回させることにも成功した。この加速器運転技術を用いて、単一光子レベルでの放射光波束の特性、特にその時間構造に関する実験に着手した。単一電子からの光子放出がポアッソン分布であること、また、その時間構造に関する予備的な実験結果を得ることができた。また、直列に配置された2台のアンジュレータからの放射を異なる方向に取り出し、相互の干渉性を調べることができる干渉計の構築を進め、その動作確認を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験装置の整備も概ね順調に進んでいる。予備的な成果も出始めており、また、一部では、当初の予定していなかった成果も出ている。研究全体の進捗としては概ね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
実験装置の整備を継続的に進め、可干渉光の取り出しという課題への挑戦を続ける。並行して、応用展開の可能性を探る実験研究を進める。レーザー分野などの量子光学的な手法の精通している研究者との交流を積極的に進め、放射光による全く新しい実験手法を探求する。
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Causes of Carryover |
国際会議での発表予定を2022年度中ではなく2023年5月イタリアで開催予定の国際会議に予定を繰り下げた。執行を繰り延べた助成金はこれに当てる。2023年度にはこれに加え、8月に米国で開催予定の国際会議に参加し招待講演を行う予定である。
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Research Products
(3 results)