2022 Fiscal Year Research-status Report
超伝導ナノワイヤーで切り開く極軽量暗黒物質探索の新展開
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22K18708
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石徹白 晃治 東北大学, ニュートリノ科学研究センター, 准教授 (20634504)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細川 佳志 東京大学, 宇宙線研究所, 特任助教 (80785105)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 暗黒物質 / 量子センサー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は最新の超伝導ナノワイヤー単一光子検出器を用いた軽い暗黒物質探索を目指す。仙台の希釈冷凍機に情報通信研究機構から借りた超伝導ナノワイヤー単一光子検出器の動作試験を行い我々の環境で検出器が動くことを確認した。次に、ソープション冷凍機で神岡地下実験室において宇宙線の影響を調べることを目的に、超伝導ナノワイヤー単一光子検出器の動作試験を行った。残念ながらグランドコンディションの問題から神岡地下での動作試験は上手くいかなかった。暗黒物質に高い感度を持つためには検出器の質量を増やすことが重要である。そのために、情報通信研究機構と素粒子実験で使われる読み出しを応用した多重用読み出しシステムのデザイン開発を行った。また、超伝導力学的共振器を用いた単一光子検出器で同様の研究を進めるべく準備を行った。超伝導体としてアルミニウムを用いた超伝導力学的共振器で最小検出可能エネルギーの評価、光キャリブレーション用の光学系デザイン、京大と協力した超伝導力学的共振器の多重用読み出しシステムの開発などを実施した。また、よりクーパー対の乖離エネルギーの低いハフニウムを用いた超伝導力学的共振器の製作の準備を終えた。 さらに、超伝導ナノワイヤー単一光子検出器とシンチレーション結晶を組み合わせた新しい実験提案を行い、東北大学の学内研究者の協力のもとその準備を開始した。同時に、神岡地下での本格的な暗黒物質探索を目指してNaI結晶を用いた環境ガンマ線や3He検出器を用いた中性子の測定を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
神岡での1度目のテストは上手くいかなったが、来年に2回目の測定を予定しており大きな問題ではない。また、東北大学の学内研究者の協力で新しい実験デザインが作れそうであり、当初想定した以上の進捗である。総合して、おおむね順調であると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度に神岡地下に希釈冷凍機を持ち込む予定である。そこでの、超伝導ナノワイヤー単一光子検出器のテストへ向けた準備を進める。また、ハフニウム超伝導力学的共振器を用いた単一光子検出器の実現を目指すると同時に、東北大学の学内研究者と協力した新しい実験の小型プロトタイプの開発を進める予定である。さらに、神岡地下で環境γ線や中性子の測定を継続する。
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Causes of Carryover |
光キャリブレーション用の光学系の長納期化のために今年度の購入を見送ったため。
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