2023 Fiscal Year Research-status Report
新奇物質制御にむけた高強度高純度ベクトルビームの開発
Project/Area Number |
22K18718
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
本田 洋介 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 准教授 (40509783)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | テラヘルツ / 電子ビーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は加速器で生成する短バンチ電子ビームから発生するコヒーレントテラヘルツ光の利用手法を開発する。多バンチの電子ビームから発生したテラヘルツパルス列を、外部共振器の技術を用いて重ね合わせることにより、ピーク強度を増大すると同時に空間モード純度を向上する手法を開発するのが目的である。 コヒーレント遷移放射(CTR)の過程で放射される高次空間モードを持つ広帯域テラヘルツパルスを蓄積するための外部共振器は、共焦点型の設計である必要があることを示した。つまり、パルス繰り返しに合わせて共振器ミラーを製作する必要がある。実験を行う加速器施設の条件に合わせて、京都大学FEL施設を想定した89.25MHzと、高エネルギー加速器研究機構のcERLを想定した81.25MHzの2つの場合について、曲率半径を決めた共振器ミラーの準備を行なった。 これまでに、京都大学FEL施設で準備実験を行なった。RF電子銃で発生した8バンチの電子ビームを金属標的に衝突してCTRを発生した。2枚の凹面鏡と1枚の平面鏡(入力結合部)でV字型の共振器を構成し、CTRを共振器にたいして合わせこむ手法を検討した。テラヘルツ検出器を2次元スキャンして行うプロファイル測定と、それを反映したアライメントレーザーの設置によって、テラヘルツ光の発散の平行化と軸出しの調整の手順を確立した。外部共振器のミラーの位置をスキャンして共振器長を精密に調整することで、共振器が入力テラヘルツ光によって共鳴する信号を観測することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最終的にはより多数のバンチ数で実験を行うことが可能なcERLでの実験を予定している。ただし、cERLではビーム運転時間の都合で十分な実験時間を確保 できない。そこで、最初の試験は京都大学FELで行なった。頻繁に実験セットアップを調整できる実験環境を活用して、共振器とテラヘルツ光のアライメントの調整手法を確立することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
最初の試験では、共振器の共鳴信号を観測することが出来た。しかしこの時は、信号を見つけ易くするために、入力結合器としては透過率50%程度のフィルタを用いた。最終的には、より透過率の小さい(広帯域で反射率が高い)フィルタを用いることで、高い増大率で共振器を共鳴させることが目的である。その際、共鳴幅が狭くなること、共鳴が飽和するまでに多数のバンチが必要になること、入力テラヘルツ光のビームサイズや軸のアライメントについてより精度が必要になること、が予想される。 京都大学FELでの実験の経験を踏まえて、cERLで実験を行う。cERLでは加速器の放射線シールド外までCTR/CDRテラヘルツ光を輸送するビームラインが用意されているが、最近のビーム運転では用いられていないため、再度テラヘルツビーム輸送の調整と確認が必要である。ビーム運転期間において調整時間を確保し、テラヘルツビームの輸送調整を行い、放射線シールド外の実験室で実験できる状況を確立する。 cERLのパルス繰り返しに合わせた共振器ミラーは準備済みなので、これまでに確立した手法で共振器を設置し、多パルスでの共振器共鳴信号の観測を目指す。
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Causes of Carryover |
ビーム運転時間の都合で、2023年度のcERLの加速器運転期間には本テラヘルツ実験専用のビーム時間を確保することが出来なかった。このため、詳細なセットアップの準備は次年度に持ち越した。ビーム実験に合わせて現場で必要になる治具等を準備するために必要な予算であり、次年度のビーム実験に向けて使用する予定である。
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