2022 Fiscal Year Research-status Report
Developing the wave optics gravitational lensing astronomy
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22K18720
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
大栗 真宗 千葉大学, 先進科学センター, 教授 (60598572)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 重力レンズ / 重力波 |
Outline of Annual Research Achievements |
ボルン近似に基づく重力波の重力レンズ効果の調査を行った。フレネル長に対応する密度揺らぎにより生じる振幅と位相のゆらぎは10^-3のオーダーで小さいことがわかっていたが、幾何光学重力レンズ増光された重力波に対する、密度揺らぎパワースペクトルと振幅および位相ゆらぎを結びつける一般的な公式を導出し、それを用いて強い重力レンズで大きく増光された重力波に対しては振幅および位相ゆらぎが大幅にブーストされることを見出した。このことにより、波動光学効果を少ない数の重力波観測で検出しうる可能性を指摘した。この研究で導出した一般的な公式は、さまざまな状況下で波動光学効果を見積もるためのたいへん有用な公式であり、今後もさまざまな応用が考えられる。今後開発していく予定の数値計算コードの計算結果との比較も今後の重要な研究テーマとなるだろう。 またこの他に、ボルン近似の適用範囲の詳細の調査にも着手した。手始めに、点質量レンズの場合は波動光学効果の解析的な表式が知られているので、点質量レンズの場合に解析式とボルン近似の式の計算結果を比較し、フレネル長が十分大きい場合、またソースの位置が離れた場合など重力レンズ効果が弱い場合にボルン近似の精度が良いことが確認できた。これらの結果をもとに、波動光学効果の数値計算の準備を順次進めている。またボルン近似の精度の比較も、等温球質量モデルなど他の質量モデルに拡張し今後さらに調べていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ボルン近似に関する重力な進展を得ることができ、論文に成果をまとめることができた。数値計算の準備も進んでおり、研究は概ね順調と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
ボルン近似の精度の詳しい調査と、数値計算コードの開発を並行して進めていく。また数値計算コード開発のための波動光学理論の詳細な再調査も行っていく。
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Causes of Carryover |
予定していた研究打ち合わせを次年度に持ち越すこととしたため。
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