2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of Wide-band X-ray gamma-ray and optical-infrared integrated imaging devices by Japan's Original Surface-Activated Wafer Bonding Technology
Project/Area Number |
22K18721
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鶴 剛 京都大学, 理学研究科, 教授 (10243007)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 武彦 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (50312202)
松前 貴司 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究員 (10807431)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | ゲルマニウム撮像素子 / 異種半導体常温接合 / X線撮像素子 / 赤外線撮像素子 |
Outline of Annual Research Achievements |
SiとGeの半導体結晶の接合技術「常温SAB」を用いて,0.5-100keVの広帯域X線・ガンマ線と,0.3-1.8μmの可視光・近赤外線を一気に観測可能な「Si-Ge一体型撮像素子」を提案する.検出部の厚いGe層と,読み出し部のSi回路層は半導体結晶として接合されている.X線・ガンマ線に対してGeはSiより1桁大きい質量吸収係数を持ち,光赤外線に対してGeのバンドギャップはSiの半分なので,それぞれ波長で観測帯域が広がる.読み出しはSi回路層で行うので,低雑音や小さいピクセルが可能である.いわば,GeとSiの「いいとこ取り」である.これを実現する鍵は常温SABである.本研究はこの常温SABを用いた「Si-Ge一体型撮像素子」を実現することが最終目的である.これに対し,今年度は下記を行った.(1) Si-Ge撮像素子のコンセプトの確認.(2) SABでのSi-Ge接合品質の改善,(3) Si-Ge ピクセルTEGチップ用のSi側ピクセルアレイの準備,(4) Si-Ge撮像素子の元となるSi側SOI撮像素子の試作.(1)(2)に関して,界面回復アニーリングとして試した3つのサンプルに対して,I-V特性の評価を行い,最もリーク電流が低く,PN接合の特性が得られた条件を,ベストプロセス条件と判断した.この素子に対して,逆バイアスでの光反応を評価した.Siは吸収しないIRレーザー光を照射したところ光電流が発生した.すなわちGe側で空乏層が形成されたことを確認した.以上から基本コンセプトの正しさを確認できた.(3)に関して,小型のSi-Ge TEGチップとして,研究代表者が行ってきた一連のX線SOIピクセルセンサ開発の資産であるPDD-TEG2を採用し,その準備を行った.またGeウェハの準備も進めた.すでに保持している2枚のGeウェハに対してイオン注入を実施した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度の目標は優れたSi-Geの接合特性を持つ常温SABプロセスの確立である.Si-Ge撮像素子のコンセプトとSi-Ge接合品質の改善に関して,界面回復アニーリングのベストのプロセス条件の抽出した.IRレーザー光を用いた実験からGe側で空乏層が形成されたことの確認もできた.したがって,コンセプトの確認に成功した.2023年度に行う,ピクセルTEGチップ用のSi側ピクセルアレイの準備も行うことができた.従って2023年度の研究開始の準備も整えることができた.したがって,概ね順調に進展していると評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は光検出をする空乏層の形成状況とその改善を行う.そのため,(1) Si-Geピクセルアレイの試作と評価,(2) Si-Ge接合プロセスの改善を行う.(3) 本研究終了後に行うSi-Ge撮像素子試作の準備も行う予定である.(1)に関して,「Si-GeのSAB接合による広帯域撮像素子」という基本コンセプトの正しさを確認したので,次のステップとして撮像素子の最終構造に近いサンプルの試作と評価を行う.その際,各種の評価を可能とするSi側TEGが必要となる.そこで申請者がこれまでSOI素子を開発する上で様々な評価に利用した「PDD-TEG2」を使う.最終的なSi側撮像素子と同じデバイス構造をしているが,複数のピクセルを1つにまとめて外部に引き出すので,ソースメーター等で様々な電気試験が可能である.(2)に関して,2022年度に得た最適な界面回復アニーリングをもってしても,結果として暗電流の低減が不十分である可能性は残る.そこでさらなる低減を目指す.サンプルの接合面をTEMで観測するなどの方法から,界面回復アニーリングの最適化をすすめる.(3)に関して,本予算終了後になるが,撮像素子としてSi-Geチップをプロセスし,評価実験を行う予定である.これに必要なSi側のSOI撮像素子の製造には半年以上が必要である.そこで効率的に開発をするために,今年度のうちに準備を完了させる.
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Causes of Carryover |
X線SOIなどの入手必要な経費を,前倒し請求を求めることとしたことが理由である.その経緯は次の通り.一体型素子で0.5-100 keVの広帯域のX線を一気に撮像分光可能な「Si-Ge一体型撮像素子」を開発することが本研究の目的である.日本独自の常温SAB技術を応用し.検出部の厚いGe層と,読み出し部のSi回路層は半導体結晶として接合する.当初は,初年度に単素子フォトダイオードによる常温SABの条件出しを行い,2年度はX線SOIに対して常温SABを行いSi-Ge一体型撮像素子を試作する予定であった.現在,初年度の11月であるが,その段階で,初年度の目標をクリアできる目処がたった.そこで,予定を前倒しし,2年度に行うSi-Ge一体型撮像素子の試作の準備を開始することにした.そこで,試作に必要なX線SOIの入手を行うこととした.
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Research Products
(39 results)
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[Presentation] 超新星残骸 G0.61+0.01 におけるジェット状爆発の観測的証拠の発見2023
Author(s)
田中優貴子, 内田裕之, 松永海, 成田拓仁, 天野雄輝, 佳山一帆, 鶴剛, 前田啓一 (京都大), 田中孝明 (甲南大), 岡朋治 (慶應義塾大), 竹川俊也 (神奈川大)
Organizer
日本天文学会 2023春季年会
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[Presentation] X線分光撮像衛星XRISM搭載軟X線撮像装置Xtendの開発の状況 (9)2023
Author(s)
内田裕之, 萩野浩一, 野田博文, 林田清, 冨田洋, 森浩二, 中嶋大, 田中孝明, 鶴剛, 松本浩典, 岡島崇, 吉田鉄生, 米山友景, 石田学, 前田良知, 村上弘志, 山内誠, 廿日出勇, 信川正順, 信川久実子, 幸村孝由, 小林翔悟, 鈴木寛大, 平賀純子, 内山秀樹, 山岡和貴, 尾崎正伸, 堂谷忠靖, 常深博, 水野恒史, 他 XRISM/Xtend チーム
Organizer
日本物理学会 第77回年次大会(2022年)
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[Presentation] 広帯域X線の高感度観測衛星 FORCE:高精度の姿勢決定系の検討と汎用天文台としての位置づけ2023
Author(s)
中澤知洋, 森浩二, 村上弘志, 久保田あや, 小林翔悟, 幸村孝由, 萩野浩一, 高橋忠幸, 馬場彩, 小高裕和, 寺田幸功, 榎戸輝揚, 内山泰伸, 佐藤寿紀, 石村康生, 北山哲, 谷津陽一, 藤田裕, 石田学, 渡辺伸, 山口弘悦, 中嶋大, 古澤彰浩, 信川正順, 太田直美, 鶴剛, 他 FORCE WG
Organizer
日本物理学会 第77回年次大会(2022年)
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[Presentation] X 線分光撮像衛星 (XRISM) 搭載軟 X 線撮像装置 (Xtend) の開発の現状 (8)2022
Author(s)
小林翔悟 (東理大), 鈴木寛大 (甲南大), 森浩二 (宮大, ISAS/JAXA), 冨田洋 (ISAS/JAXA), 中嶋大 (関東学院大, ISAS/JAXA), 林田清, 野田博文 (阪大), 鶴剛 (京大), 他 XRISM/Xtend チーム
Organizer
日本天文学会 2022年秋季年会
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[Presentation] XRISM 搭載軟X線撮像検出器 SXI のフライト用 CCD 素子の地上較正試験に おける分光性能の評価2022
Author(s)
宮_啓太郎, 寺田裕太, 金丸善朗, 楠康平, 大塚芳徳, 横須晴彦, 米丸若菜, 森浩二 (宮崎大学), 青木悠 馬, 信川久実子 (近畿大学), 筆本脩介, 信川正順 (奈良教育大学), 内田裕之, 鶴剛 (京都大学), 他 XRISM/Xtend チーム
Organizer
日本天文学会 2022年秋季年会
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[Presentation] XRISM 搭載軟X線撮像検出器 SXI のイベント検出アルゴリズムのパラメタ決定2022
Author(s)
大塚芳徳, 金丸善朗, 宮_啓太郎, 楠康平, 横須晴彦, 米丸若菜, 森浩二 (宮崎大学), 信川久実子 (近畿 大学), 信川正順 (奈良教育大学), 内田裕之, 鶴剛 (京都大学), 他 XRISM/Xtend チーム
Organizer
日本天文学会 2022年秋季年会
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[Presentation] SOI 技術を用いた新型 X 線撮像分光器の開発 54 : PDD 構造を有する X 線SOI-CMOS 検出器 XRPIX の TID 効果測定試験2022
Author(s)
岩切卯月, 森浩二, 武田彩希, 西岡祐介, 行元雅貴, 石田辰徳, 泉大輔 (宮崎大学), 鶴剛, 内田裕之, 天野 雄輝, 佳山一帆, 松田真宗 (京都大学), 倉知郁生 (ディーアンドエス), 新井康夫 (KEK), 幸村孝由, 土 居俊輝, 角町駿, 武居悠貴, 清水真 (東京理科大学), 萩野浩一 (関東学院大学), 田中孝明 (甲南大学)
Organizer
日本天文学会 2022年秋季年会
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[Presentation] SOI 技術を用いた新型 X 線撮像分光器の開発 55:現在の到達点と今後の開発2022
Author(s)
鶴 剛, 内田裕之, 上ノ町水紀,池田智法,佳山一帆, 松田真宗, 天野雄輝(京都大), 森浩二, 武田彩 希, 西岡祐介, 行元雅貴, 石田辰徳, 泉大輔, 岩切卯月(宮崎大), 幸村孝由, 他
Organizer
日本天文学会 2022年秋季年会
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[Presentation] A hard X-ray complement to Athena: The prospect of hard X-ray astronomy in the 2030s and the FORCE mission2022
Author(s)
Hornschemeier, Ann ; Mori, Koji ; Tsuru, Takeshi ; Nakazawa, Kazuhiro ; Ueda, Yoshihiro ; Tanaka, Takaaki ; Watanabe, Shin ; Ishida, Manabu ; Matsumoto, Hironori ; Awaki, Hisamitsu ; Okajima, Takashi ; Zhang, William ; Yukita, Mihoko ; Williams, Brian
Organizer
AAS High Energy Astrophysics Division meeting #19
Int'l Joint Research
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[Presentation] Recent progress in development of trigger-output event-driven x-ray astronomy SOI pixel sensors2022
Author(s)
Takeshi Go Tsuru, Hiroyuki Uchida, Kazuho Kayama, Yuki Amano, Koji Mori, Ayaki Takeda, Yusuke Nishioka, Masataka Yukumoto, Kira Mieda, et al.
Organizer
SPIE Astronomical Telescopes + Instrumentation, 2022, Montr_al, Qu_bec, Canada
Int'l Joint Research
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[Presentation] 広帯域X線の高感度観測衛星 FORCE:2022年秋におけるミッション提案の現状2022
Author(s)
中澤知洋, 森浩二, 村上弘志, 久保田あや, 小林翔悟, 幸村孝由, 高橋忠幸, 馬場彩, 小高裕和, 谷本敦, 寺田幸功, 榎戸輝揚, 内山泰伸, 佐藤寿紀, 石村康生, 北山哲, 谷津陽一, 藤田裕, 石田学, 渡辺伸, 山口弘悦, 中嶋大, 萩野浩一, 古澤彰浩, 信川正順, 太田直美, 鶴剛, 他 FORCE WG
Organizer
日本物理学会 2022年秋季大会
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[Presentation] 宇宙X線観測向けSOIピクセル検出器の大面積化におけるアナログ信号応答の改良2022
Author(s)
武田彩希, 森浩二, 西岡祐介, 行元雅貴, 石田辰徳, 岩切卯月, 泉大輔, 川島陸斗, 眞方恒陽, 鶴剛, 内田裕之, 上ノ町水紀, 天野雄輝, 佳山一帆, 松田真宗, 島添健次, 高橋浩之, 幸村孝由, 角町駿, 土居俊輝, 武居悠貴, 清水真, 田中孝明, 鈴木寛大, 萩野浩一, 新井康夫, 倉知郁生
Organizer
日本物理学会 2022年秋季大会
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[Presentation] 宇宙X線観測向けSOIピクセル検出器の放射線耐性の評価2022
Author(s)
幸村孝由, 北島隼正, 角町駿, 土居俊輝, 武居悠貴, 清水真, 萩野浩一, 鶴剛, 内田裕之, 上ノ町水紀, 天野雄輝, 佳山一帆, 松田真宗, 森浩二, 武田彩希, 西岡祐介, 行元雅貴, 石田辰徳, 岩切卯月, 泉大輔, 川島陸斗, 眞方恒陽, 田中孝明, 鈴木寛大, 新井康夫, 倉知郁生
Organizer
日本物理学会 2022年秋季大会
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[Presentation] 新型ピクセル型シリコン検出器による極低バックグラウンド環境での太陽アクシオン探査2022
Author(s)
松田真宗, 藤井俊博, 鶴剛, 池田智法, 天野雄輝, 佳山一帆, 岩崎啓, 上ノ町水紀, 身内賢太朗, 小貫良行, 井上慶純, 武多昭道
Organizer
日本物理学会 2022年秋季大会
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