2022 Fiscal Year Research-status Report
Implantable power generation system using incomplete tetanus of muscles to convert glucose into electricity
Project/Area Number |
22K18748
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
土方 亘 東京工業大学, 工学院, 准教授 (30618947)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 体内発電 / 機能的電気刺激 / 骨格筋 / 静電誘導 / 骨格筋刺激制御 / エレクトレット / 筋疲労モデル / 筋収縮モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では骨格筋を外部電気刺激によって不完全強縮させ,その収縮力をもとに発電するシステムを提案している.2022年度は,不完全強縮を誘発し,かつ発電電力量と刺激に要する消費電力量の差(正味電力量)が最大となる刺激条件を明らかにすることを目的に,骨格筋収縮モデルの構築と同定を実施した. まず,骨格筋に外部電気刺激を与えた際に,細胞内に電荷が供給されるまでの現象を「電気的動特性」,細胞内電荷に応じてカルシウムイオンが放出され,収縮要素が力を発揮するまでの現象を「生理学的特性」,収縮要素発揮力が骨格筋の粘弾性を介して外部に発現するまでの現象を「機械的動特性」」として,各々の特性を数理モデルで表現した.さらに,アフリカツメガルの腓腹筋を用いて提案モデルの同定を行い,不完全強縮状態も精度よく再現可能であることを実証した. さらに,上記モデルに筋疲労モデルも加えた.筋疲労モデルは収縮要素を,1.疲労なし・アクティブ,2.疲労あり・アクティブ,3.疲労なし・ノンアクティブ,4.疲労あり・ノンアクティブの4状態に分類し,刺激強度に応じた微分方程式で各状態が遷移する様子を表現した形となっており,疲労の回復も考慮している.筋疲労モデルも加えた最終的な筋収縮モデルは,60秒間の連続刺激と60秒間の休憩を繰り返したアフリカツメガエルの筋収縮力波形とよく一致することを実証した.今後は,本モデルに基づいて,発電システム全体の発電量最適設計を実施する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた筋収縮モデルと筋疲労モデルの融合,および実際の筋肉を用いたモデルの同定を終えており,当初計画通り順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
1.不完全強縮を利用した発電システムの設計: 申請者らはこれまでにエレクトレット(電荷を半永久的に保持する樹脂材)を作製し,静電誘導発電に適用することで,生体が発生しうる1Hzの周波数において,同じ寸法のピエゾ素子に対して発電量が190倍のシートを実現している.今後,これをベースに筋肉の不完全強縮に適した発電システムを開発する.具体的には,不完全強縮によって生じる十数hzの振動を利用してエレクとレットとコレクタ電極を相対運動させ,高出力な発電を実現する.そのために,今年度構築した不完全強縮モデルと,発電機のダイナミクスを連成して発電量を求め,正味電力が最大となるようにエレクトレットや発電機構を最適化する, 2.動物実験による発電評価 筋収縮モデルに基づき設計した刺激制御系と,上記1で設計した発電システムを合わせ,カエル筋肉を用いて発電量を評価する.目標は1gあたりの筋肉で10uWとする. 実験結果から得られた設計・制御上の問題点の明確化と改良設計も実施する.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響で電子部品の納期が遅くなり,当初購入を予定していたロードセルが購入できず,残額が生じた.研究室で所持していた分解能の低いロードセルで研究は遂行できたが.次年度は,より高精度なものを購入し,骨格筋モデルの精度向上を目指す予定である.
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