2023 Fiscal Year Research-status Report
Implantable power generation system using incomplete tetanus of muscles to convert glucose into electricity
Project/Area Number |
22K18748
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
土方 亘 東京工業大学, 工学院, 准教授 (30618947)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 体内発電 / 骨格筋 / 筋収縮モデル / 刺激電圧 / 環境発電 / エレクトレット |
Outline of Annual Research Achievements |
ペースメーカや神経刺激装置など,体内で電池駆動する消費電力数十uWの埋込機器が増加しているが,数年ごとに電池交換外科手術が必須であり,患者の精神的,肉体的な負担となっている.そこで,生体組織を工学的に応用する全く新規のアイデアでこの課題の打破に挑戦する.具体的には,筋肉の潜在的仕事率が1mW/g であることに着目し,体内グルコースを,筋肉を介して電力に変換するシステムを設計し評価する. このシステム実現のために,(i)筋収縮モデルに基づく骨格筋刺激制御系,(ii)骨格筋の収縮特性を考慮した高効率発電システム,(iii)生体筋肉を用いた発電実験を実施する,昨年度は計画通り(i)を完遂した. 本年度は骨格筋の収縮特性を考慮した発電システムの設計を実施した.まず,骨格筋が発生可能な不完全強縮が10~20Hz程度であることを考慮すると,従来,kHzオーダーの高周波振動における環境発電で用いられる圧電素子では,高出力が期待できない.周波数アップコンバータ機構を用いるなどの方法も考えられるが,機構の複雑化や設置スペースの増加を考えると望ましくないため,本研究ではエレクトレットを用いた発電素子を開発した.具体的にはエレクトレットと誘電エラストマーおよび薄膜電極を積層した発電シートタイプと,往復振動機構にエレクトレットを設置した振動型発電機構タイプの二つを設計・試作した.さらに,骨格筋の収縮と発電素子のダイナミクスを連成したモデルを構築し,発電素子の寸法および刺激信号の最適設計を実施した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
筋収縮モデルの構築に加え,エレクトレットとエラストマーを積層した発電シートの最適設計,さらには当初計画していなかった不完全強縮で共振させる振動型発電機の設計まで実施することができた.発電機の設計では,筋収縮特性を考慮し,発電量と刺激電力の差である,正味電力が最大化するように設計することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
筋収縮と発電機のダイナミクスを連成したモデルで,正味電力の最大化設計が行えた.そこで次年度は,骨格筋への電気刺激システムを構築し,カエルの腓腹筋等を利用した発電実証実験に取り組む計画である.その際,モデルから導出した最適刺激電圧にて,発電機構の共振周波数と同じ周波数で骨格筋を不完全強縮させることで,本研究がコンセプトに掲げている,不完全強縮を利用した高出力発電を実現する計画である.
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Causes of Carryover |
当初,骨格筋収縮制御のために見込んでいたワークステーションを制御系の簡易設計の工夫にて,通常の計算能力のPCで制御可能としたため,その分の支出を行わずに計画通りの研究を進捗できた.一方,次年度は高い時間効率で研究を遂行するために,生体筋肉を用いた実験を複数並列で実施予定でおり,今回生じた次年度使用額は,そのための複数の発電システム,および骨格筋刺激システムの試作に利用する予定である.
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