2022 Fiscal Year Research-status Report
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22K18752
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松山 智至 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (10423196)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 形状可変鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,次世代のX線分析・顕微鏡を実現するために必要となる高精度・高安定・良制御性を持つ形状可変鏡を開発することを目指している.最終的な目標はÅ精度の形状制御である.これを実現するために,単結晶圧電素子を用いた新規構造の形状可変鏡の提案・開発・高度化を進めた. 本年度は,①設計の最適化,②有限要素計算を用いた性能予測,③単結晶圧電素子の加工特性評価,④形状可変鏡の試作を実施した. ①②では,有限要素計算を用いた様々な設計を調査した.電極配置や結晶厚みなどについて検討するために電場解析と変形解析を進め,基本的な設計指針を得ることができた. ③では,X線鏡作製でよく用いられる加工法を実践し,加工後の表面粗さを白色干渉計を用いて評価した.単結晶シリコンと同等の表面粗さを得ることができることを確認した.これはX線鏡としは十分な性能であった. ④実際に形状可変鏡を試作した.形状可変鏡をセットし電圧を供給できる実験装置を開発した.可視光干渉計を使ってその変形を測定したところ,②で得られた計算結果とよく一致した.また,その挙動を正確に評価したところ,安定性,リニアリティ,再現性,応答関数についてよい結果が得られた.以上のことから,試作は成功したと言える. 本結果を受けて,次年度は安定性評価やX線照射テストなどを実施する.また,さらに新しい構造を持つ形状可変鏡を探求し,性能の向上を図っていきたい.また,他分野での応用についても広く検討し,得られた成果を活用していく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り順調に研究・開発を進めることができた.本年度の目標の一つである形状可変鏡の試作に成功した.その挙動は,既存の形状可変鏡を凌駕する性能(安定性,リニアリティ,再現性)を発揮した.今後の研究開発によってさらなる性能向上やもっと新しい構造の形状可変鏡を検討する足掛かりを得ることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後はさらなる性能の調査を実施していく.長期間の精密な安定性の評価や短時間の変形挙動などを可視光干渉計にて実施する.また,SPring-8にて,X線照射テスト・X線干渉計評価などを実施する.時間が許せば,さらに新しい構造の形状可変鏡について検討(シミュレーション・設計)を実施する.
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Research Products
(8 results)