2022 Fiscal Year Research-status Report
In-situ観察に基づく超音波振動付加下における塑性変形挙動の理解とその応用
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22K18758
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
杉原 達哉 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (90637539)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 塑性変形 / 超音波振動 / トライボロジー / Blaha効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
金属の塑性変形時に超音波振動を付与することによって変形抵抗が低減する現象は,「Blaha効果」として広く知られ,金属加工への積極的な展開が進められている.本研究では,Blaha効果の詳細なメカニズムや発現条件を明らかにするためには,同効果をもたらす要因とされている,超音波重畳効果や転位への作用をはじめとする「体積効果」と,界面摩擦への作用である「表面効果」とを明確に切り分け,かつ定量的な指標によって評価すべきであるという考えのもと,「超音波振動下における材料の塑性流動現象のin-situ観察」による評価手法の確立を図るというものである. R4年度は主に,超音波振動付与の状態における材料の塑性流動現象のin-situ観察手法の確立を目指し,実験装置の構築を行った.そして,くさび状圧子(インデンタ)による押し込み試験を活用した装置を開発ことによって,せん断,切断,圧縮といった様々な変形場における超音波振動の影響の可視化を実現した.また,DIC解析を援用することで,材料内部の変形速度場,インデンタ壁面での材料すべり速度など,様々な変形場の特徴を定量化する手法を確立した. さらに,同装置を用いた可視化実験を実施することによって,超音波振動がもたらす「体積効果」と「表面効果」の影響を切り分け,それぞれの影響を定量的な指標をもってして評価を行うことで,超音波振動を付与した状態における変形抵抗モデルの構築を図った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
R4年度は,最大の目標であった「超音波振動付与の状態における材料の塑性流動現象のin-situ観察手法の確立」,ならびに,「DIC解析を援用した塑性変形場の特徴の定量化」達成した.さらに,これらを用い,超音波振動がもたらす金属材料の塑性変形挙動の変化の解明を目的とした実験にも既に着手していることから,研究はおおむね順調に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
R5年度は,超音波振動がもたらす金属材料の塑性変形挙動の変化を解明し,それらに基づいた新たな金属加工技術を構築することを目的として,研究を遂行する. (1) 超音波振動がもたらす金属材料の塑性変形挙動の変化の解明 超音波振動がもたらす「体積効果」と「表面効果」の影響を切り分け,それぞれの影響を定量的な指標をもってして評価を行うことを試みる.そして,“せん断・切断・圧縮などの様々な変形場”ד振動数・振幅の異なる超音波振動条件”ד結晶構造・結晶粒径の異なる材料条件”の組み合わせで行い,変形抵抗値とあわせて評価することで,「Blaha効果」の発現条件や影響因子,それぞれの効果の寄与度を明確化するとともに,超音波振動を付与した状態における変形抵抗モデルの構築を目指す. (2) 新たな金属加工技術の構築 本研究で得られた知見に基づいて,(a) 最適振動条件の設計指針の確立,(b) 超音波振動の効果を増幅する微細表面テクスチャを有する工具/金型の開発,(c) 新規提案モデルの各種解析技術への実装,といった新たなトライボロジー技術の構築・展開を図る.
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