2023 Fiscal Year Research-status Report
2D動的フリーフォームプラズマ生成のためのプラズマプロパゲーション制御
Project/Area Number |
22K18759
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐野 泰久 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (40252598)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | プラズマ / 数値制御加工 / エッチング |
Outline of Annual Research Achievements |
情報通信産業において不可欠な高精度基板材料の厚さ均一化技術として、プロジェクタで励起光が投影されている部分の基板表面にのみプラズマを生成させ、基板各場所のエッチング量を各場所の投光時間で制御する全く新しい発想に基づく数値制御プラズマエッチング法を提案している。この方法の実現には、励起光が照射されていない場所へプラズマが広がる前に高周波電源の出力を一旦オフにすることが要となるため、基礎研究としてプラズマが横方向へと広がる速度を把握し、プラズマの広がり方を制御することを本研究の目的としている。 R4年度は、長い平行平板電極を有する基礎実験装置の構築を進めたが、プラズマ発生試験において平行平板電極全面に均一なプラズマを生成させることが困難であることが分かった。そこで、平行平板電極ではなく、形状による電界集中によって高電界強度が得られる極細ワイヤー電極を持ちることを検討し、既存のプラズマ発生用チャンバー内にて一様なプラズマが生成可能なことを確認した。 R5年度は、励起光が照射されている間のみプラズマが発生するような条件をみつけることを目指した。その結果、チャンバー内でのガス溜め込み条件ではなく、石英管内にワイヤー電極を挿入して一定のガス流のもとで実験を行うことで、励起光照射時のみプラズマが発生可能であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高能率な数値制御加工法の実現を目指し、プロジェクタで励起光が投影されている場所にのみプラズマを生成させ、面内各所のエッチング量を各所の投光時間で制御する全く新しい発想に基づく加工法を提案しており、本研究では、励起光が照射されていない場所にまでプラズマが広がることを抑止するため、プラズマが広がる速度を把握・制御することを目的としている。 当初計画では長い平行平板電極を有する基礎実験装置の構築を進めたが、プラズマ発生試験において平行平板電極全面に均一なプラズマを生成させることが困難であることが分かった。そのため平行平板電極ではなく極細ワイヤー電極を持ちることに変更し、昨年度、既存のプラズマ発生チャンバーを用い、雰囲気ガスをヘリウム1気圧とし、直径50μmのワイヤーに高周波電力を印加することで、一様なプラズマが生成可能なことが確認できた。 本年度は、プラズマプロパゲーション評価実験を目指し、まずは励起光が照射されている間のみプラズマが発生する条件から検討した。プラズマが発生する最低電力よりも低電力の条件において、青色LEDもしくは紫外光を照射することでプラズマを発生させることに成功したが、励起光をオフにしてもプラズマは発生したままであった。これはヘリウムの準安定状態に起因するものと考え、チャンバー内における溜め込みの実験から、ガス流を伴う石英管内での実験へと変更し、これによって、励起光を照射している間のみプラズマを発生させることに成功した。当初計画からは遅れているが、最終年度で追いつくことは可能であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
石英管内に配置したワイヤー電極回りに発生するプラズマを用いて、プラズマの広がり速度に対する、高周波電力、雰囲気圧力、ベースとなる希ガスの種類(質量数の異なるヘリウムやアルゴン等での比較)、ならびに添加ガス(絶縁ガスとして一般的に知られているSF6等)の影響を定量評価し、プラズマ広がりに対する物理的なモデルを構築する。そして、パルス変調が可能な高周波電源を導入し、プラズマの広がりが許容値以下となるようなプラズマON時間、電極間のガスを一旦排気して再度充填するプラズマOFF時間の検討を行う。そして、適切なプラズマON時間、OFF時間を設定することで、一様に高電界強度となっているワイヤー電極まわりにおいて、励起光が照射されている部分のみでプラズマを生成するデモ実験を行うとともに、エッチング用ガスを用いてシリコンの加工実験を行い、励起光を照射した場所のみエッチングが行われることを確認する。
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Causes of Carryover |
当初計画通りの研究成果が得られていないため、論文発表や学会発表に関わる支出が行われていない。一方で、プラズマ発生装置まわりおいて様々な試行錯誤を行ったため、物品(消耗品)の支出は計画よりも大きなものとなった。次年度使用額が生じた大きな理由は、昨年度の使用金額が少なかったためであるが、その大きな理由は高額物品となる高速度カメラを購入しなかったためである。高速度カメラは次年度に購入の予定であるため、研究費としては当初計画通りの金額を使用する予定である。
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