2022 Fiscal Year Research-status Report
Nanostructure transfer to cell membrane by cytoplasmic gelation and its optical sensor application
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22K18760
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
遠藤 達郎 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (40432017)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | ナノインプリントリソグラフィー / フォトニック結晶 / 細胞膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、①細胞膜表層の生体分子の機能・分子構造を損なうことなく、②ナノインプリントリソグラフィ(Nanoimprint lithography: NIL)を用いて細胞膜へナノ構造を転写する技術を開発することにある。加えて開発した技術を用いてナノメートルサイズの周期構造を有する光学素子「フォトニック結晶(Photonic crystal: PhC)」を細胞膜上へ作製し、細作製されたPhC自体が分子認識・特異的結合能を有する光学バイオセンサとして応用する。 ナノメートルサイズの構造を転写する技術であるNILには、良好な再現性にてナノ構造を転写可能である。しかしNILは、細胞のように曲率を持った基材に対して構造転写することは高い技術を要するとともに、細胞膜のような流動性のある材料へ化学的に架橋させることなく構造を転写することは困難である。 従来の技術では困難であった「細胞膜タンパク質を変性(架橋)させずにナノ構造を転写、その形状を維持する」技術を開発する本研究は、挑戦的研究として従来のナノ・マイクロ加工技術において加工可能な材料の選択肢を増やすことにつながることで意義がある。 当該年度では、細胞膜を架橋するのではなく、細胞質をハイドロゲル化させる、ことで細胞膜へナノ構造を転写、PhCを作製するための基礎実験を行った。細胞質のハイドロゲル化には、細胞凍結時に細胞内へあらかじめ細胞毒性の低いPolyethylene Glycol Diacrylate (PEGDA)、光重合開始剤等を取り込ませた後融解、光重合にてPEGDA等を含む細胞内(細胞質)をゲル化させた。その結果、細胞質のハイドロゲル化に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞質のハイドロゲル化には成功しているが、細胞膜へのナノ構造転写には、鋳型が細胞へ挿入されにくいことが明らかとなった。ナノ構造を転写させるためには鋳型の表面状態制御が必要であり、今後はその詳細を検討する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞へ鋳型を挿入させるためには、鋳型表面の親疎水性制御が必要である。より細胞が親和性高く鋳型が挿入できるようにするために、表面処理あるいはプラズマ処理を施して親水性を高めて実験を実施することを計画している。 併せて、表面の形態を観察するのに走査型電子顕微鏡とともに原子間力顕微鏡を駆使して観察することを計画している。
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Causes of Carryover |
細胞培養に使用する試薬類および消耗品については、研究室で保有していた試薬類を使用したことから、新規で購入するすることなく研究を推進することができたため、次年度使用額が生じた。
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