2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of mathematical model of thermo-fluid phenomena in microchannel with stochastic connections using determinism and probability theory
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22K18769
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
巽 和也 京都大学, 工学研究科, 准教授 (90372854)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | マイクロ流路 / 確率論 / 決定論 / 流動特性 / 粒子充填 / 沸騰 / 数理モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
マイクロ流路内の確率論の事象を伴う現象における局所と全体の特性評価と,その数理モデル開発として,確率連結を有するマイクロ流路内での粒子流れと沸騰現象の計測に向けた実験系の構築と測定を開始した.さらに現象を一元的に表すサーマルコンパクトモデルとしての数理モデルの検証を行うため,流動・伝熱・粒子運動を計算する数値解析プログラムの開発を行った.マイクロ流路では確率現象を簡略化し,可視化できるように周期的な構造を持つ格子状流路を製作した.格子状流路での粒子流れと粒子による流路閉塞,および壁面加熱による沸騰現象の可視化計測と圧力損失測定を行った.数値解析では流路の局所の閉塞および沸騰は確率論の事象として適用する一方,決定論的要素として流路閉塞による流れの変化を解き,それに基づく各箇所の粒子充填・沸騰の発生確率を変化させたモデルを開発した.これにより決定論と確率論に基づく現象の連成解析が可能となる.これらの実験と数値解析による結果は,従来の多孔質体や流路での粒子充填に基づく(ランダム事象に基づく)流動・圧力損失に関する数理モデルを用いて計算した場合と比較した.その結果,充填初期では両者の大きな違いは見られないが,時間の経過とともに充填領域の形状と拡大の特性が両者で大きく異なり,それに合わせて圧力損失の増加率で乖離が見られ,決定論を考慮した場合の方が流路閉塞に要する時間が短くなり,圧力損失の増加率が顕著に増大した.これは実験でも類似する傾向が見られ,決定論的特性を考慮した数理モデルの開発の必要性を明らかにした.これらの成果は国内会議で発表し,さらに2022年度では国際会議と国内会議で発表する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
格子状マイクロ流路製作は京都大学のナノハブ拠点および機械系のクリーンルーム設備を利用して高い精度で製作した.粒子流れにおける粒子充填と流路閉塞の実験では,粒子の選定と流路壁のコーティング等の各条件の調整および微小流量を制御できるポンプの開発,そして高速度・高感度カメラそれぞれで測定できる観察系の開発と整備を行った.数値解析では,粒子充填や沸騰などの局所の確率論的事象を確率関数で表現する一方,流路内の流動解析にこれらが周囲の流れ場に与える影響を適用することで,確率論と決定論の現象に関する連成解析を可能とした.流れの影響(決定論的要素)を考慮しない場合と比較して,連成解析では充填領域はより分散して発生することを示した.これは流動場が粒子充填により時間的に大きく変化するためであり,それにより圧力損失は増大した.さらに,粒子充填領域の拡大の特性も異なり,小さなクラスターを多く生成する一方,充填後期では急速に流路閉塞が進み,流路閉塞に至る時間(寿命)が短くなる.従来の多孔質体や粒子充填モデルでは,これらの特性を再現することはできず,新たなモデルの開発の必要性を示した.これは血栓による閉塞や,電流を伴う機器の破損での解析に通じる特性であり,本モデルと知見の各分野への展開の検討を考えている. 沸騰(気泡の発生・成長・連結・剥離)を伴う場合の実験では,流路下壁に透明電極(ITO・FTO)を適用し,通電加熱下での沸騰と流れへの・流れによる影響を顕微鏡を用いて可視化できる装置を製作した.気泡の発生と成長は気泡が小さい場合はランダム性が高いこと,気泡が成長すると成長の速度と方向や剥離特性が変化することを明らかにした.さらに,壁面温度と熱伝達率を気泡の可視化と同時に測定できるように装置の改良を行っている.
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Strategy for Future Research Activity |
初年度は格子状マイクロ流路での確率論的事象として粒子充填と沸騰を発生させ,観測する装置を完成した.次に粒子充填の実験では確率統計の議論と数理データ検証が十分にできるデータを集める.また充填による粒子濃度の変化を数値解析プログラムに導入し,流路の流れ方向での充填と流路閉塞の特性も表現できるモデルの開発を行い,実験と比較することで妥当性と精度を実証する.沸騰の実験では壁面温度と熱伝達率および流体温度を計測する必要がある.壁面温度はサーモグラフィ(IR)カメラもしくは申請者らが開発したサーモリフレクタンスイメージング法を用いて測定する.このために赤外線を透過するマイクロ流体デバイス(流路)の製作,または加熱電極の材料と形状を選定する.さらに壁面の濡れ性や,壁の熱伝導や加熱方法も見直して普遍的な現象が得られるように調整する他,血管網や熱交換器の形を検討し,流路形状の設計を行う.数理モデルでは,局所の確率論の事象に各種影響を変数・定数として与える一方,全体の特性を一元化したサーマルコンパクトモデルとして表現できるよう,パーコレーション理論およびWeibull確率統計分布を用いて表し,その有効性を表現する予定である.
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの感染拡大に伴う学会と渡航の制限・延期による旅費の繰越と物品の在庫不足による装置の導入の調整と延期のため. 海外研究協力者への訪問および国際会議での発表の延期による旅費と学会参加費の繰越,および物不足による装置の開発に必要な備品や物品の製作・納期の遅れに伴う実験の進捗の遅れ(数カ月)により研究計画をやや変更する必要があった.これに対して,申請者が所有していたIRカメラを軸にした計測系の設計・製作・準備を前倒しで行った.2023年度は,早急に物品と備品を準備・納品して装置に導入し,実験を開始できるように調整している.一方,数理モデルの要素のいくつかも研究協力者との連携が遅れているため完成していないが,プログラムの製作は前倒しで進めることで数値解析での検討も始めている.また,今年度には国際会議等への発表を2件予定しており,すでに1件は投稿し,受理されている.
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Research Products
(2 results)