2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of the method of characteristics for kinetic equations and its application to flows with complicated boundaries
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22K18770
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
辻 徹郎 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (00708670)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 智清 京都大学, 情報学研究科, 教授 (90448168)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 分子流体力学 / 運動論的方程式 / 特性線法 |
Outline of Annual Research Achievements |
【実施事項①】分子気体力学の運動論的方程式に対する特性線法の実装をおこなった.具体的には,支配方程式としてBoltzmann方程式のモデルであるBhatnagar-Gross-Krook(BGK)方程式,境界条件として拡散反射条件を採用し,空間3次元の軸対称問題を取り上げ,その解析を進めた.境界形状は厚さの無視できる薄い円板とし,また,無限遠方では一様流の条件を与えた.ただし,流れは分子の熱速度に比べて十分に遅く,支配方程式および境界条件の線形化が許されるとした.この問題設定では,代表的な2つの従来手法,すなわち差分法と特性線法のハイブリッドスキーム[e.g., H. Sugimoto and Y. Sone, Shinku 32, 214 (1989)]とDirect Simulation Monte Carlo(DSMC)法の適用が困難であり,精密な数値解析には本研究課題で提案する特性線法による解析が有用である. 【実施事項②】速度分布関数の不連続を捉える方法としては,本研究課題で提案している特性線法の他にも,速度分布関数の不連続を含む部分と含まない部分に速度分布関数を分解し,前者を解析的に,後者を数値的に扱う方法[e.g., S. Naris and D. Valougeorgis, Physics of Fluids 17, 097106 (2005)]が提案されている.この手法をスプリット法と呼ぶことにする.スプリット法はハイブリッドスキームより実装が簡便で,特性線法より計算コストが小さいため,一見すると有利な方法である.しかし,速度分布関数の導関数の不連続を取り除くことが出来ないという点を考慮すると,この方法は速度分布関数の特異性を完全に捉えることは出来ていないと考えられる.本研究では,このことを定量的に確認する数値計算をおこなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【実施事項①に関する進捗】円板まわりの分子気体流れに対して特性線法を適用した結果として,境界条件に起因する速度分布関数の不連続構造を正確に捉えることに成功し,巨視的物理量(流速,温度,応力,熱流など)を精度良く求めることができた.とくに,円板尖端近傍の急峻な物理量の変化を捉えることができており,一様流が円板によりどのような摂動を受けるのか,円板には働く力が気体の希薄度にどのように依存するかなど,分子気体力学における基礎的な知見が得られたと言える. 【実施事項②に関する進捗】同軸二重円筒内の,円周方向の分子気体流れを例にとり,スプリット法による数値シミュレーションをおこなった.結果として,内円筒近傍の巨視的物理量の特異性(速度分布関数の特異性に起因)が,スプリット法では精確には捉えられていないことが分かった.速度分布関数レベルでその原因を究明したところ,当初のわれわれの予想のとおり,速度分布関数の導関数が不連続であることが精密に捉えられていないことが分かった.この計算により,特性線法で速度分布関数の特異性を正確に捉えることの重要性がより明らかになった.
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Strategy for Future Research Activity |
【実施事項①に関する今後の推進方策】一様流の問題に引き続き取り組み,さまざまな希薄度について,気体の振舞いや円板に働く抗力を系統的にまとめる.また,円板の表裏に温度差があるラジオメータ効果の解析など,精密な数値解析をおこなうためには特性線法を必要とする種々の基礎問題を取り上げ,成果を展開していく. 【実施事項②に関する今後の推進方策】同じ問題をハイブリッドスキームや特性線法で解析し,計算速度や精度について定量的な比較をおこなう.特性線に沿った積分は計算コストが高く,特性線法のボトルネックとなっている.このコスト低減を狙って,特性線上における被積分関数の変動に追従する離散化手法を検討する.
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Causes of Carryover |
海外出張を見送ったため,2022年度分の予算の一部を2023年度分に請求することとした.
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Research Products
(21 results)