2023 Fiscal Year Annual Research Report
中赤外光を用いた光超音波ハイパースペクトラルイメージング
Project/Area Number |
22K18785
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松浦 祐司 東北大学, 医工学研究科, 教授 (10241530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木野 彩子 東北大学, 医工学研究科, 学術研究員 (30536082)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 光音響分光法 / 光超音波 / 中赤外光イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はパルス変調した中赤外光を生体組織に照射した際に,組織内部で発生する超音波を検出することにより,生体分子のスペクトル情報と,ビームスキャンによる面内構造情報の両方を含むハイパースペクトル画像を得る手法のフィジビリティスタディーを行うことを目的とする.今年度は,脳腫瘍などのイソクエン酸脱水素酵素(IDH)に変異を有するがん細胞で特異的に産生される2ヒドロキシグルタル酸(2HG)に着目した.まず2HG水溶液の光音響スペクトルを計測するための装置を構築し,そのスペクトルを取得したところ,1100cm-1付近に2HGの分子構造に由来する明瞭な吸収ピークが観察され,その出現波長はATR法で得られるものとほぼ一致した.そこでサンプルとしてブタ脳を用い,同様に2HGを添加してスペクトルを取得したところ,同様のピークが検出されたため,昨年度に構築したイメージング装置を用いて, 上記ピークの面積値に基づくスペクトラルイメージングを試みた.その結果,2HGを添加した部分としていない部分では明らかに信号強度が異なることが判明した.このように本研究の実施期間2年間において,提案した超音波光音響スペクトラルイメージングを用いた,脳内の2HGイメージングによる,悪性脳腫瘍などの診断へと結びつく可能性が示唆された.ただし,現状では判別可能な2HG濃度は5%程度とこれまで報告されている脳内2HG濃度の10倍以上の値となっており,今後はさらなる感度向上が必要とされる.
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