2023 Fiscal Year Research-status Report
Optical skin: 光と深層学習によるマルチモーダルソフトセンシング
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22K18792
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
砂田 哲 金沢大学, 機械工学系, 教授 (10463704)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | マルチモーダルセンシング / 光触覚センシング / 超次元コンピューティング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、光スペックルパターンの鋭敏性と高次元性を積極的に利用して、多様で複雑な外界刺激を的確に分離し且つ同時に検出可能なソフト・マルチモーダルセンシングを可能にして、触覚センシングに展開することを目指している。昨年度の研究では、スペックルパターンにエンコードされた触覚情報を深層学習によりデコーディングしてセンシングする手法を用いていたが、学習に大量のデータを必要とすることや状況変化に対する適用性が弱いことが欠点であった。本年度の成果の1つは、超次元コンピューティング(HDC)の手法を取り入れた処理方法の開発である。HDCの特徴は、入力情報を超高次元空間上のベクトル(ハイパーベクトル, HV)としてエンコードすることで、高次元空間上で簡単な演算が可能となる点である。本研究のセンシング手法の骨子であるスペックルパターンは、光のHVとしてみなすことができるため、自然にHDCの手法が利用可能となる。具体的なデモとして、シリコーンゴム、光ファイバ、カメラから構成されるシンプルなタッチセンサを考案し、センサへの接触情報がスペックルパターンとしてエンコードされ、それがHVとして利用可能となることを示した。生成される光HVの次元は10万次元以上であるため、理想的な超次元空間上の演算が可能となる。一方、従来のHDCのように、そのHVを記憶させる必要もないという特徴もある。以上のアイデアに基づき、本センサが1mm以下の分解能で接触を判別できることを示した。また、HDCでは勾配によるパラメータ更新を必要としないため、少ないデータ数で適用的な学習が可能となる。これにより深層学習と比較して、100分の1の学習時間で接触の判別が可能となる結果を得た。また、これらのアイデアをロボットハンドに搭載した触覚センサに応用し、HDC的な処理により、接触物体の同定も可能となることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、当初の予定に従い、深層学習に頼らない新たな処理手法を導入し、良好な結果を得た。また、ロボットハンドに搭載可能な触覚センサとして利用可能であることを示す良好な結果も得た。
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Strategy for Future Research Activity |
開発した触覚センサの高度化をハード・ソフトの両面から検討する。具体的には、 光のスペックルパターンの動的な反応や熱伝導率の違いを識別するような機構を取り入れて、接触物体の識別能力の向上を目指す。また、スペックルパターンは外界に関する大量の情報を含むため、情報量を適切に削減可能なデータ処理方法を開発する。さらに、超次元コンピューティングの光演算化をさらに進める方法の開発に取り組む。
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Causes of Carryover |
2023年度では光超次元コンピューティングに向けた理論的な研究や簡易なデモを実施したが、2024年度にはロボットハンドへの搭載を想定したデモを予定している。そのために必要な経費として約15万円を次年度に繰り越すこととした。本繰越額と合わせてロボットハンド実装に向けた必要な光学電子部品(光ファイバやソフトセンサ部材)の購入に充てる計画である。
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