2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K18805
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
庄司 雄哉 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (00447541)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 光メモリ / 磁気光学効果 / 光磁気変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、次世代の光信号処理ネットワークに向けて磁性体を用いた新しい光メモリの実現を目的とする。作製するデバイスの概要としては、再生層として機能する磁気光学ガーネットCe:YIG上にアモルファスSi導波路によってリング共振器や書き込み用の導波路を形成し、記録層となるCeFeBをリング導波路の一部に配置した構成となっている。 書き込み動作については、光パルス入力に対する磁化反転動作の実験結果についてOptics Express誌に投稿していたものが掲載された。書き込み導波路のリング共振器の外側への適切な配置位置について静磁界解析を用いてシミュレーションを行い、記録層が1つの場合でも10μm程度の領域にCe:YIGを磁化飽和する程度の磁界を発生できることがわかった。また、CoFeB記録層の厚さと縦横のサイズについてもシミュレーションを行い、実際にCoFeB層のみの磁化特性を測定することで、保磁力が小さいまま残留磁化が強くなる最適な形状があることがわかった。 また、再生層となるCe:YIGの磁化反転速度を評価するため2021年度から検討を進めたコプレーナ線路を用いた光スイッチの高速応答の検討結果について、成果発表した国際会議OECC/PCS2022と応用物理学会学術講演会でBest Student Paper Awardと講演奨励賞を受賞する評価を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画として、1年目に予定していたCoFeB記録層の形状最適化についてはおおむね達成できた。2年目に予定していたデバイス作製について先行して着手し、記録層が1つないし2つの光メモリを作製し、記録層の上部に形成した金属導線の発生する外部磁場で光学特性の評価を行った。しかし、電流で磁界を発生したときのリング共振器の共振特性が大きく変化することが確認できたが、同時に発熱による熱光学効果による影響が大きく、残留磁化での共振特性の変化を確認することはできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目の計画は、光メモリとしての書き込みと読み出しの両立動作を実証することである。デバイス作製については、記録層1つでも比較的広い範囲の磁界発生が可能である見通しが得られたため、記録層1つのデバイスを試作する。また、磁界の制御は金属導線だと発熱の影響が大きいことがわかったため、外部から電磁コイルを使って制御する方法を検討する。具体的な測定イメージとして、まずリング共振器の波長特性を測定し、CoFeB記録層の磁化方法を外部磁界で制御した場合の波長シフトを計測する。次に、記録層をある方向に磁化した後、磁界を反対方向に磁化反転しない程度に印加した準備状態を作り、書き込み導波路への光入力によって磁化反転が生じることをリング共振器の波長シフトから確認する。
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