2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K18810
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
真田 篤志 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 教授 (20264905)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | メタマテリアル / 変換電磁気学 / 透明マント / 非相反 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度、非相反座標変換媒質を実現するため、基本素子となる、複数のジャイレータで構成される非相反集中定数素子を新たに提案した。まず、提案した非相反集中定数素子が電流の方向によってインピーダンスの値が異なる非相反性を示す集中定数素子となることを回路論に基づき理論的に示した。次に、数値シミュレーションにより本素子の周波数特性を計算した。その結果、本素子が、わずかなリップルがあるもののほぼ周波数依存性のない非相反集中定数素子として動作することが確認できた。これにより非相反異方性媒質の最も基本的となる構成要素が実現できた。 続いて、波の伝搬方向によって異なる実効媒質パラメータを与える2次元非相反異方性メタ原子モデルの回路トポロジーを探索した。2次元異方性媒質モデルの各素子に非相反集中回路素子を導入することで、非対角項を含む実効的媒質パラメータをほぼ独立に与えることができるメタ原子回路モデルを考案した。回路シミュレーションにより、本メタ原子回路モデルで構成した2次元非相反異方性媒質が、順方向および逆方向の電磁波伝搬に対して理論通りの非相反伝搬特性を持つことを数値的に確認した。このことにより、本研究の第1の目的である順方向と逆方向でほぼ独立した座標系を与える非相反異方性媒質の構成理論の構築に成功した。また、本媒質に斜めに電磁波が入射した場合には、波の伝搬が順方向と逆方向の混合状態となることが数値シミュレーションにより明らかになった。この理論的裏付けや媒質設計への展開については現段階で未解明であり、引き続き検討してゆく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、非相反集中定数素子を新たに提案し、それを用いて波の伝搬方向によって異なる実効媒質パラメータを独立に与える2次元非相反異方性媒質を考案した。またその妥当性を数値シミュレーションにより確認した。これは、本研究の目的である非相反異方性媒質の構成理論の構築を達成するものである。本理論に基づき引き続き非相反座標変換媒質を構成し、その特性を明らかにすることで最終目標が達成される見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、提案する非相反集中定数素子値の周波数特性やリップル除去方法、および非相反異方性媒質の斜め入射電磁波の伝搬に対する伝搬特性を解明する。その後、得られた非相反異方性媒質を用いて非相反透明マント媒質を設計し、透過型および反射型のクロークに対して、順方向と逆方向で異なる座標変換を与える非相反媒質パラメータ分布を計算し、非相反座標変換媒質を構成する。電磁界シミュレーションにより、その媒質に順方向および逆方向に電磁波を入射させたときの電磁波の散乱の様子を観測することで本座標変換媒質の非相反動作を確認する。
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