2023 Fiscal Year Annual Research Report
冷却システムを必要としない超伝導モビリティの実現に向けた蓄冷システムの開発
Project/Area Number |
22K18811
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
東川 甲平 九州大学, システム情報科学研究院, 准教授 (40599651)
|
Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
|
Keywords | 超伝導 / モビリティ / 固体窒素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、冷却システムを必要としない超伝導モビリティの実現に向けた蓄冷システムの開発である。超伝導モータは、従来のモータでは為し得ないほどの出力密度を達成し得るため、大型旅客機の電動化の唯一解とされるほどの期待を受けている。一方、超伝導モータの運用では、超伝導部を低温に保ち続けることが不可欠であり、それにかかる冷却システムの重量は、その成否を左右する重大な課題となっている。そこで本研究では、比熱の高い固体窒素と熱伝達流体の組み合わせた高機能蓄冷材を開発し、超伝導モータへの適用可能性を実証することで、冷却システムの搭載を必要としない夢の超伝導モビリティの実現可能性を提示することに挑戦する。
窒素が固体となる温度(63 K)以下、また特に超伝導モータが最大出力を出せるような温度領域(例えば30 K程度)では、窒素の液体状態が存在せずに、固体窒素は昇華して気体となるが、その昇華圧があまりにも低いため、固体窒素の冷却対象の点以外は断熱状態となる。特に、液体窒素を真空引きして気化熱で固化させる手法は、固体窒素の高速作製が可能であるが、気泡だらけの構造になり蓄冷材として機能しない。この弱点を補うために、当該温度領域の蒸気圧が高いガスを添加することを考えており、熱伝達率と作製時間の観点から最適なガスの種類と添加量を見出す必要がある。
そこで本年度は、上記の検討を行うために前年度に設計を行っていた実験装置を実際に製作することに成功し、真空引きや伝導冷却など様々な手法による固体窒素の作製と、様々な熱伝達ガスの添加が可能となった。また、本蓄冷材による超伝導体の過渡的な発熱に対する冷却特性と、定常的な発熱と外部からの熱侵入に対する蓄冷特性を評価し、冷却システムを搭載しない超伝導モビリティの実現可能性を見出した。
|
Research Products
(2 results)