2023 Fiscal Year Annual Research Report
マイノリティ微生物によるマジョリティ機能の誘導機構の解明
Project/Area Number |
22K18820
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
伊藤 司 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (80431708)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 相互作用 / 多様性 / Bacillus / 持続可能性 |
Outline of Annual Research Achievements |
自然環境中ではほとんどの微生物が微生物群集を形成して存在しているため、微生物の機能を評価・制御する上で生物学的因子についての理解は重要である(これまで多くの場合は温度や圧力などの物理的因子とpHや酸素や基質濃度などの化学的因子)。 我々は生物学的因子によって細菌の活性が向上したと考えられる現象として、アゾ染料Congo Redの脱色活性を持つ脱色細菌Enterococcus faecalis T6a1株と非脱色細菌Bacillus subtilis S4ga株を共培養することでT6a1株の脱色活性が向上するという現象を発見した。また、これら2種間での代謝物の授受という種間相互作用が存在する可能性を示してきた。さらに本研究で共培養によってT6a1株の活性が向上するメカニズムを「培養液中の過酸化水素濃度」、「培養液中の溶存酸素濃度」、「細胞外溶出物の利用」という3つの観点から検討を行った。培養0~4時間において共培養ではT6a1株単独培養よりも過酸化水素の分解速度は速くなり、分解量も多かった。また、培養0時間で発生した高濃度の過酸化水素によるT6a1株の細胞損傷も共培養することで防ぐことができたと考えられた。共培養ではS4ga株が培養液中の溶存酸素を消費し続けることで、T6a1株が染料分解しやすい無酸素環境が作られた。これは特に培養0~24時間において脱色活性の向上に寄与していると考えられた。培養24時間以降は、「細胞分裂→自己溶解による内容物の溶出→プロテアーゼなどによる溶出物の分解および利用」のサイクルがT6a1株の活性を維持・向上させていると考えられた。
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