2022 Fiscal Year Research-status Report
Exploring the potential for microbial control using alternating electric fields in water treatment processes
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22K18824
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飛野 智宏 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (90624916)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 典之 東京大学, 環境安全研究センター, 教授 (30292890)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 交流電場 / 微生物制御 / 水処理プロセス / バイオフィルム / 増殖速度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、交流電場の特性を活かした従来とは全く異なる電気的微生物制御の可能性を探索することを目的とし、交流電場が水中の微生物の代謝・増殖に及ぼす影響とその原理解明を進めるものである。 今年度は、純菌株(大腸菌、緑膿菌)を用いて、浮遊および付着状態(バイオフィルム)での細胞増殖に及ぼす交流電場の影響を検討した。大腸菌を用いた浮遊系試験では、10~20 MHz、1 V/cmの交流電場を与えると増殖速度が低下(比増殖速度が20-24%減少)したことから、交流電場により増殖が抑制されること、またそれが周波数依存的に生じることが確認できた。電場強度を変えた試験の結果、増殖抑制効果が電場強度に依存することも明らかとなった。これらの影響が電極表面における電気化学的反応や細胞-電極間と接触によるものであるかどうかを検証した結果、いずれの可能性も否定され、影響は電極表面ではなく与えられた電場により引き起こされているという確証が得られた。興味深いことに、電場を与えると細胞長が増大する現象がみられた。このことから、電場が細胞分裂に何らかの影響を及ぼしていることが示唆された。 フローセルを用いた付着系試験においても、浮遊系試験と同様の増殖抑制効果(壁面付着細胞数の減少)が確認された。この影響は緑膿菌でも再現された。いずれもグラム陰性の桿菌であり結論の一般化は尚早だが、異なる細菌種に対しても共通する影響が生じる可能性が示唆された。電場が細菌細胞の壁面への付着/脱離に及ぼす影響を評価した結果、試した条件の範囲においては特に大きな影響は見られなかった。このことから、今回観察された付着細胞数の減少はおおむね増殖抑制効果によるものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交流電場が浮遊細胞および付着細胞の増殖に及ぼす影響を概ね計画どおり評価することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
交流電場による増殖抑制が生じる機構解明に向けた検討を進める。遺伝子発現解析とメタボローム解析を行い、細胞に生じている変化を確認する。付着系試験を継続する。特に、液流により生じるせん断力と電場とが付着細胞の脱離に及ぼす相互作用の有無を検討する。
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Causes of Carryover |
発生した次年度使用額は8,998円と総額に比べて僅かであり、ほぼ当初計画の予算額を執行して発生した残額である。次年度分と合わせて必要な支出のために有効活用する。
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