2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of Autonomous Fatigue Recovery Structural Members
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22K18825
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 佑弥 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (10726805)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | コンクリート / 疲労 / フライアッシュ / 損傷回復 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,疲労荷重作用を受けるコンクリート構造部材を対象とし,疲労進展と損傷回復の両者の速度を制御した自立型疲労回復建設材料の開発を目指すものである.当該年度は,小型鉄筋コンクリート梁試験体を作成して水中曲げ疲労試験を実施し,高効率に疲労試験を実施する手法の確立を試みた.40cm長さの小型角柱試験体かつ10Hzの高周波数の条件下でも,良好に疲労進展を捉えることができること,小型であるがゆえに,水分供給や劣化の促進がしやすいという利点があることが明らかとなった. また,ひび割れ中に析出する物質の力学寄与を考慮可能な力学構成則を提案し,既往の非線形有限要素法解析システムに導入した.ひび割れ中のせん断伝達ならびにひび割れ再接触の際に,析出物質の力学特性を追加で考慮することで,標準的な円柱試験体の圧縮力学挙動,さらには,構造部材の力学性能が変化することを解析的に示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小型梁を用いた水中曲げ疲労試験の実験環境を整備し,試験を実施した.40cm長さの小寸法かつ10Hzの高周波数ながら,コンクリートの疲労が進展する様子を良好に捉えることができた.凍結融解などの作用により材料劣化を起こした試験体も用意し試験することで,小寸法であるがゆえに,環境作用の影響を明確に捉えることができた一方で,曲げ破壊を想定したにもかかわらず,せん断破壊となってしまうなどの実験条件の改良点も明らかとなった. 上記実験環境の整備に時間を要したため,一方で,当初R6年度に行う予定であった,ひび割れ中の析出物質の力学寄与に関するモデル化を先行して実施した.ひび割れ中の析出物質に寄与のモデルをせん断伝達モデルなどに加えることで,円柱試験体の力学圧縮挙動や,梁の曲げ挙動に有意な影響がでることを解析的に示した. 以上より,総合的に見ておおむね順調に進展していると判断される.
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Strategy for Future Research Activity |
新たに導入した環境試験槽により,大きなサイズの材料劣化試験が可能になったことから,次年度は配筋条件ならびに梁の長さを改良して,より効果的な条件で実験を実施する予定である.健全試験体とともに,ASRによる劣化が生じる試験体も用意し,疲労作用との複合の中でどのようにひび割れ中の物質が力学的に寄与するのか実験データを蓄積する. 混和材としてフライアッシュを用いることで,緩慢な水和反応進展と疲労により損傷進展がどのように相互作用を及ぼすのかという点についても実験データを得ることにも取り組む.この時,局所的な損傷進展を非破壊で捉えるための手法についても検討する,シュミットハンマーやビッカース硬さ試験などが候補として考えられる.
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Causes of Carryover |
今年度,学外の実験機器設置施設の改修工事が行われ,実験環境の整備に時間を要したため,試験体の作成ならびに実験の実施の一部を次年度に延期した.このために,次年度使用額が生じた.次年度には,延期した試験体作成ならびに実験の実施を行う物品費,ならびに研究成果の取りまとめ・発信を行うための旅費として,次年度使用額分を使用する.翌年度分については,計画通りに翌年度分の使用を進める.
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Research Products
(1 results)