2022 Fiscal Year Research-status Report
UAV搭載型ディスドロメータの開発および雨滴粒径・降雨強度の鉛直・縦横断移動測定
Project/Area Number |
22K18834
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
仲吉 信人 東京理科大学, 理工学部土木工学科, 准教授 (90706475)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 降雨レーダ / UAV / ドローン |
Outline of Annual Research Achievements |
ディスドロメータとは雨滴粒径と降雨強度を測定するセンサの総称である。雨滴粒径分布は降雨レーダによる雨量測定に不可欠な情報である。本研究では、小型・低消費電力・低コストの新たなディスドロメータを開発することを目的とする。開発した機器をUAVに搭載に、世界に例のない雨滴粒径・降雨強度の鉛直-縦横 断移動測定を実現する。研究は、以下のステップで実施する。 1.現状のイメージディスドロメータ(*1)をドローンできるよう小型化・低消費電力化する。2.ドローン搭載時の雨滴粒径、降雨強度の算出精度を評価する。3.感圧センサを用いた雨滴の落下速度の同定が可能か検証する。4.ドローン搭載型ディスドロメータを降雨レーダ観測高度まで上昇・ホバリングさせ上空の雨滴粒径・降雨強度を算出する。それを降雨レーダによる算出値と比較する。 *1:イメージディスドロメータとは、申請者が開発した雨滴粒径・降雨強度の新たな測定原理である。透明平板に付着した雨滴を撮像し、画像解析により雨滴のフットプリントを自動同定し、室内実験により定めた関係式よりフットプリントの面積を球等価直径への変換する。 当該年度は、上記実施項目の内、1と3を達成した。Spresenseマイコンを利用した撮影システムを新たに構築すること、これまでのラズパイを用いた撮影システムよりもスケール比10分の1となり、モバイルバッテリで動作可能なほど消費電力の削減が可能となった。また、暗所での画像の鮮明化のために撮像時のライティング最適なライティング方法を考案した。これにより、従来より明瞭な雨滴のフットプリントが視認できるようになった。感圧素子を用い雨滴の落下速度の同定が可能か検証した。降雨に見立てシャワーを感圧センサに当て、シャワー流量と抵抗変化の関係を調べた。現状、流通している感圧センサでは感度が雨滴落下の衝撃と捉えることが出来ない結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1.ドローン搭載可能なイメージディスドロメータの開発 ドローンに搭載できるようにイメージディスドロメータの小型化・低消費電力化に成功した。Spresenseマイコンを利用した撮影システムを新たに構築すること、これまでのラズパイを用いた撮影システムよりもスケール比10分の1となり、モバイルバッテリで動作可能なほど消費電力の削減が可能となった。また、暗所での画像の鮮明化のために撮像時のライティング最適なライティング方法を考案した。これにより、従来より明瞭な雨滴のフットプリントが視認できるようになった。一方、防水ドローンを購入したが、ドローン搭載時の雨滴粒径の測定精度の検証はできていない。ドローン利用条件によっては、ドローン操縦のための国家資格が必要となり、本研究ではライセンスを必要とする。所属する大学にてライセンス取得費用の取り扱いについて協議中である。これが「やや遅れている」と判断した理由である。 2.圧力センサを利用した雨滴落下速度の同定の検討 レーザー式ディスドロメータからは雨滴粒径と落下速度の関係は大気の擾乱により一意に決まらないことが確認されている。感圧素子を用い雨滴の落下速度の同定が可能か検証した。感圧素子のサイズと種類を変え、センサに作用する圧力と抵抗変化の関係をキャリブレーションし、降雨に見立てシャワーを感圧センサに当て、シャワー流量と抵抗変化の関係を調べた。シャワー流量を最大にした際に感圧センサの抵抗が変化したが、その流量は降雨相当にすると数百mm/hに相当する。現状、流通している感圧センサでは感度が雨滴落下の衝撃と捉えることが出来ない結果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
ドローン搭載時の雨滴粒径の測定精度検証 ドローンに小型化したイメージディスドロメータを搭載し、市販のレーザー式ディスドロメータ、転倒ます雨量計を複数設置した実験区内でホバリングし、イメージディスドロメータの雨滴粒径、降雨強度の算出精度を市販センサ群と比較する。レーザー式ディスドロメータは感雨エリアが狭く、代表性に懸念があることが報告されている。実験区には2台のレーザー式ディスドロメータを配置することでレーザー式ディスドロメータの代表性も考慮した評価を行う。プロペラの出力を変えることで、ドローンが生み出す気流が雨滴の落下、および透明平板付着後の雨滴のフットプリントにどのような影響を及ぼすかが解析のポイントである。
ドローン搭載型ディスドロメータによる上空での雨滴粒径測定 ドローン搭載型ディスドロメータを降雨レーダ観測高度まで上昇・ホバリングさせ上空の雨滴粒径・降雨強度を算出する。それを降雨レーダによる算出値と比較する。なお、これにはドローン操縦ライセンスの取得が不可欠であり、所属機関と協議する。
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Causes of Carryover |
世界的な半導体不足により、当初購入予定であった防水ドローンや気象計測器の導入が当該年度に完了しなかった。ドローンは2023年5月に導入された。気象センサの導入の目処もたった。
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