2023 Fiscal Year Research-status Report
砂の年代効果の実験時間5000倍圧縮の実現~結晶のオストワルド熟成の利用~
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22K18837
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Research Institution | Wakayama National College of Technology |
Principal Investigator |
林 和幸 和歌山工業高等専門学校, 環境都市工学科, 教授 (30587853)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡村 未対 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (50251624)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 炭酸カルシウム / 年代効果 / ボンディング / 液状化 |
Outline of Annual Research Achievements |
現行のFL法は、実際は液状化しない地盤であってもしばしば液状化すると判定される(液状化強度が過小評価される)、大いに合理化の余地がある液状化判定法となっている。液状化強度を過小評価することの主な原因として、年代効果が指摘されている。年代効果による液状化強度の増加メカニズムは、微小地震や過圧密等により微視的粒子構造が安定化することと、化学的作用による粒子間の結合(ボンディング)の発達である。砂の液状化抵抗に及ぼす年代効果を実験室で調べるには、通常100年オーダーの時間スケールを要する粒子間ボンディングの発達を、数日程度まで飛躍的に短縮できる試験方法の開発が必要である。本研究では、炭酸カルシウム結晶の熟成効果に伴いボンディングの発達が期待できるサンゴ砂に着目し、養生の有無と応力比の異なる4つの供試体に対し非排水繰返し三軸試験を実施した。その結果、排水条件で1日養生したサンゴ砂供試体の液状化抵抗はR20=0.22からR20=0.35に、すなわち約1.5倍に増加した。これは、微小ひずみ領域におけるヤング率の増加とともに、ダイレイタンシーが強まったことが要因であると推察される。光学顕微鏡を利用した粒子形状観察では、養生後のサンゴ砂粒子の接触部において、わずかながらボンディングが形成された痕跡が見られた。以上のことより、サンゴ砂は排水条件で1日養生するだけで液状化抵抗を向上させるために十分なボンディングが発達することが明らかとなり、実験室内において短期間で年代効果の再現を可能とする地盤材料であるとことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
短期間で粒子間ボンディングが形成される地盤試料の液状化特性が概ね把握できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
粒子間ボンディングの発達に伴う圧密の時間tと、圧密によって生じた体積ひずみをボンディング発達の指標としてその関係を明らかにする。供試体を等方圧密し、ある一定の体積ひずみが生じた時点で非排水繰返し三軸試験を実施し、ボンディングの発達レベルと液状化抵抗の関係を明らかにする。すでに提案されている砂の繰返しせん断に伴い発生する体積ひずみ、繰返しせん断応力に関する物理モデルを、ボンディングが形成された砂に対し拡張することを試みる。
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Causes of Carryover |
研究は、当初計画と比べより簡易な方法で達成できたため、一昨年度の実績報告時に「次年度使用額」が生じた。その後、より高度な実験を実施できるように実験装置に改良を加え、より高品質な成果が得られるようにしたため、昨年度報告時の「次年度使用額」よりも大幅に減っている。
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