2023 Fiscal Year Research-status Report
浸水後に継続使用される戸建住宅の技術的な被害軽減方策・復旧手順の開発
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22K18840
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
藤本 郷史 宇都宮大学, 地域デザイン科学部, 准教授 (30467766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 兼一 秋田県立大学, システム科学技術学部, 教授 (50293494)
小山 毅 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任准教授 (50572608)
西嶋 一欽 京都大学, 防災研究所, 准教授 (80721969)
中島 昌一 国立研究開発法人建築研究所, 構造研究グループ, 主任研究員 (90734210)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 浸水害 / 戸建て住宅 / 継続使用 / 減災 / 建築材料 / 工法 / 復旧 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,河川の氾濫等による浸水後に継続使用される戸建住宅を対象に,浸水による被害が小さく,復旧しやすい建築材料・工法の選定方法および迅速な復旧手順を開発することを目的としている。本年度は以下の項目を実施した。①浸水害による外壁の浸水状況および断熱材の浸水・乾燥過程に関する文献調査を継続した(研究項目A-1),②各種の断熱材のうち,これまでの研究から特に乾燥速度の小さく被害との関連性が大きいと考えられたグラスウールを対象に,毛細管吸水特性把握実験を行った(研究項目A-2,B-2)③在来軸組工法の木造住宅を対象に、床上浸水した耐力壁の構造的な継続使用性を確認するための水平加力実験を実施し,浸水の有無と耐力壁の構造仕様(筋かい/合板)と断熱仕様(中断熱/外断熱)が耐力壁の構造性能に与える影響を、壁の水平載荷実験により評価した。さらに同試験体を用いて,部材内等の含水率上昇を検知する非破壊手法を開発・適用した(研究項目B-2,B-1)④さらに復旧手順を説明する写真等を撮影するとともに,浸水により腐食が促進された接合金物を次年度の分析用に採取した(研究項目A-2,B-2)⑤浸水後の木材における真菌汚染を定量化するための水分活性値の現場測定法を構築し,実験・実測により検証した(研究項目A-2, B-2)⑥漂流物の衝撃試験に関して、過去の被害事例に関する調査報告をもとに加撃体と試験体の仕様について検討を行った(研究項目A-1,A-2)⑦洪水による木造住宅の断熱材を含めた外壁内の浸水状況を明らかにするため,建物周囲の浸水および壁体内の浸水過程を一貫して取り扱える数値モデルおよび解析手法の検討を行った(研究項目A-2)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調査・実験等は計画通りに進められている部分も多いが,一部の実験の実施が遅れている。また,全体に研究成果の公表が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
以下のように研究を推進する。研究グループ全体として得られた研究成果を早期に論文等として公表するとともに,学会等の資料として社会に還元する。①耐力壁を構成する要素の浸水・加力実験によって、耐力壁性能の低下に寄与する因子を分析する。②これまでの検討結果に基づいて、保有している衝撃試験装置を改良し、衝撃試験を実施する。③単位幅の壁体において,浸水深・流速などの屋外浸水状況および壁体内断熱材の空隙率や透水性が壁体内の浸水深に及ぼす影響を数値流体解析を用いて明らかにする.④水分活性値による評価法を確立するとともに,材料表面の真菌汚染を防除するための消毒や乾燥による効果を検証するための実験を行う。
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Causes of Carryover |
実験に用いる衝撃試験装置が一時的に使用できない状況になっていたことから、実験が遅れている。繰り越された予算は、衝撃試験に関する経費に用いる。
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