2023 Fiscal Year Research-status Report
美術史学・考古学・建築史学の複合手法による東アジア建築技術伝播ルートの解明
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22K18841
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
海野 聡 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (00568157)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 古代 / 石窟 / 東アジア / 組物 |
Outline of Annual Research Achievements |
現存最古の木造建築である法隆寺をはじめとする日本の古建築や発掘遺構・出土遺物等から古代東アジアの建築技術の伝播が活発であったことが知られている。しかし現存見地の数は限られ、その実態は明らかではない。いっぽうで、木造の小建築、木造建築を模した瓦塔などの小建築、墳墓の木造表現は豊かな情報を持っている。本年度は、これらからどの程度、実際の木造建築の上部構造を知ることができるのであろうかというテーマをもって研究を進め、国際学術会議を開催した。 抽象化され、上部構造の情報が捨象された対象から解釈するのであるから、そこには幅があるのが当然である。東アジアの建築技術の観点から捉えると、建築を表彰した造形物や描写は、建築の情報化であるから、現物の移動の難しい建築の技術伝播において、抽象・捨象の過程をうかがう一つの材料ともなる。それゆえ、国際学術会議では、おもに考古資料を取り上げ、共通する史料群にもとづきながら、多様な解釈がありうる実態を示し、史料解釈の幅を捉えたい。そして、史料そのものの表象としての側面の限界を踏まえたうえで、その有効性の可否、そしてその際には技術伝播における情報媒体としての可能性も見えてくる。これらの建築技術の伝播と情報化について、東アジアの視点から検討し、建築表象に関する東アジアの研究の立ち位置や課題をあきらかにした。 また法隆寺の建築細部を中国の建築表現と比較することで、古代建築の技術伝播に関する新たな視座を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中国の渡航のハードルから、現地調査に関しては、不足する部分も否めないが、東アジアの建築表象に関する国際研究集会を2年度目に開催することができ、課題や成果がクリアになった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、建築史において、考古学や美術史の視点を取り込むことを研究手法の一つとしているが、文字資料に関しても、やはり重要な情報源であることが、あらためて明らかになってきている。そのため、古代日本の辞書や造営関連の史料の分析を通して、建築の言語による表現を「窓」や「建具」を中心に考察する。同様の研究視座をもつ中韓の研究者らの協力を得て、各国の状況を比較検討し、研究手法の有効性を検討する。 建築表象や図化に関する日中の国際研究集会を開催し、各国の史料の遺存状況や課題を明らかにする。また、これらの成果を国際研究集会を開催することで、議論の上、成果をまとめていく。また国際研究集会に合わせて、中国の建築表象や現存建築、考古遺跡のフィールd調査をおこない、情報収集に努める。 これらをもとに、貫やその他の建築技術の伝播について、総合的な検討をおこない、東アジアの視点での建築技術伝播史の構築、および建築史学に考古学・美術史の観点の導入、の2点による挑戦的な研究としての意義を示してきたい。研究の成果は、各発表者や資料公開の制限がを踏まえる必要があるが、国際研究集会に合わせて、予稿集や報告集などの形でとりまとめ、公開していきたい。
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Causes of Carryover |
中国の渡航に関して、ビザなどのハードルが生じたことなどにより、現地調査費用の見込みが予定とは異なることになった。2024年度は複数回の国際研究集会尾予定しており、また円安により費用がかさむことが予想される。
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