2023 Fiscal Year Annual Research Report
避難安全計画に関するエキスパートジャッジメントのヒートマップによる可視化手法
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22K18852
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Research Institution | National Institute for Land and Infrastructure Management |
Principal Investigator |
樋本 圭佑 国土技術政策総合研究所, 建築研究部, 主任研究官 (90436527)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 圭一 清水建設株式会社技術研究所, その他部局等, 主任研究員 (80416817)
出口 嘉一 国土技術政策総合研究所, 建築研究部, 防火基準研究室長 (90398818)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 避難安全検証 / ヒートマップ / 4R概念 |
Outline of Annual Research Achievements |
建物の避難安全検証の枠組みにおいては,通常,避難計画上の安全性が確保されているか否かの検証が行われるだけで,仮に安全でないという検証結果が得られたとしても,どのような改善を行えば安全性の向上を図ることができるのか,設計上のフィードバックが得られない場合が多い.そこで本研究では,建物の避難安全計画の分析結果をヒートマップにより可視化することで,避難安全に係る平面計画上の課題を分かりやすく提示し,設計への反映を図るための手続きについて検討した. 平面計画をヒートマップにより分析する上では,避難安全性能を評価する上で考慮すべき設計要件を網羅的に抽出した上で,それらが有する特性を分類・整理しておく必要がある.しかし,一般的な避難安全検証の枠組みにおいて採用される「避難所要時間」と「避難余裕時間」は,考慮すべき設計要件を必ずしも網羅しない.そこで,避難安全に寄与する設計要件の特性を分類・整理した結果を4R概念として再構築した. ヒートマップを利用した平面計画の分析では,避難時に滞留が起こりやすい場所,見通しが悪く避難階段に辿り着きにくい場所など,避難安全上の問題が起こりやすい場所を具体的に特定する必要がある.そこで,在館者同士の相互作用を考慮し,避難中の在館者の移動経路の追跡が可能なマルチエージェント型の避難行動モデルを開発した.また,在館者の意思決定モデルの根拠となるデータを取得するため,VR動画を利用したアンケート調査の利用可能性について検討を加えた. ヒートマップによる可視化が,避難安全性能に係る平面計画上の特徴を分析する上で有効であることを確認するため,避難行動モデルを利用したケーススタディを行った.この結果,避難所要時間および避難余裕時間を計算しただけでは十分ではなく,ヒートマップを利用することではじめて明らかになる平面計画上の特徴があることを明らかにした.
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