2023 Fiscal Year Research-status Report
電気浸透流ポンプ駆動推力可変スラスタによる超小型衛星姿勢制御系の変革
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22K18857
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松岡 健 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (40710067)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 電気浸透流ポンプ / スラスタ / 小型人工衛星 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、米国の民間企業「SpaceX」によるスターリンク計画(約1万基の超小型衛星コンステーション構想)など、超小型衛星ミッションの多様化が加速度的に進んでいる。そのため、ジェット推進による姿勢制御系(Reaction Control System、RCS)の在り方にも抜本的な変革が必要である。具体的には、既存システムを格段に小型高性能化し、様々なミッションに柔軟に対応可能なRCSである。本研究では、電気浸透流ポンプも用いた革新的超小型衛星用RCSを確立することを目的とする。 当該年度では、研究室独自の手法でEOPを作成できる手法を模索した。具体的には、3次元プリンタを用いた多孔質セラミックスを保持するケーシングの造形、炭素電極および炭素ウールの利用である。製作したEOPと純水を用いた作動試験では、既製品と同等の質量流量を達成した。また、流量増大を目的に、ディスク形状のセラミックス直径を15mmに拡大させた。その結果、最大質量流量29 mg/sを達成し、これまでの最大流量を29倍増加させることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電気浸透流ポンプを製作するノウハウを獲得し、想定通りの流量性能を達成できた点で、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
大流量化に成功した半面、課題も多くある。以下に各課題にとその研究方策を述べる。 ・セラミックス側面からの液漏れ:これまでOリングによるシールを試みたが、よりシール性の高い接着剤やインサート成形を試みる。 ・電極の最適化:炭素ウールは表面積が大きいため、電流が多く流れる。その結果として、電気分解が発生し、電極の損耗、気泡によるEOP不作動等の発生する。電極自体も導電性フィラメント等を用いた3Dプリンタで製造できる技術を確立する。 ・電気分解の抑制:パルス状の高電圧高周波印加等で、電気分解自体を抑制する手法を模索する。 以上の課題を解決し、宇宙実証に耐えうるシステムをブレッドボードモデルで確認する。
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Causes of Carryover |
当該年度では、In houseでのEOP製作技術の獲得に注力した。次年度中に、製作したEOP用いた過酸化水素および白金触媒を用いた燃焼試験を実施する計画である。
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