2022 Fiscal Year Research-status Report
安全な電池社会実現のための電池内部の迅速見える化技術基盤創成
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22K18865
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 一永 東北大学, 工学研究科, 准教授 (50422077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 稚子 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (40359691)
鷲見 裕史 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究グループ長 (80613257)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | アクティブ音響波試験 / 電気・化学・力学的特徴量 / 非破壊 / 深層学習 / 内部構造 / 長期寿命予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
充放電のたびに動的に変化する2次電池の内部の様子を可視化することは、電池の安全性・信頼性を担保する上で極めて重要なことです。一方、リチウムイオンをはじめとしたイオン伝導物質は極めて小さく、移動速度も極めて早いため、そのものの動きを直接捉えて可視化することは極めて困難です。 そこで、本研究では、物質移動に伴って発生する音響を捉えることに挑戦しています。また、動作中の電池に様々な周波数のパルス音響波を与えてその特徴量を数値化・関数化することで高速な電池内部の動的変化挙動を捉えることに挑戦しています。加えて、電池内部に起こる物理・化学現象ならびに寿命を含めた変化挙動予測を数値シミュレーションで行うために物性評価や数値解析モデル化を様々な視点から試みています。 今年度は音響に加えて、充放電に伴う温度変化、変形などを直接捉えることで電池内部の動的変化を可視化することに挑戦しました。当初の研究計画で考えていたアクティブ音響法に加え、電気化学、電磁波等の手法も併用することで、微細構造まで予測できる可能性を見出すことができました。 ここ数年、深層学習が劇的進化を遂げており、電池内部の中・長期電極構造変化も深層学習を取り入れた数値シミュレーションで予測できるようになりました。実験データやシミュレーション結果との比較を行うことで極めて確度の高いシミュレーション結果であることが示されました。今年度は新たな学術領域の芽を見出すことができたと思います。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請した計画書通りに研究が進捗し、順調に成果が出ています。得られた成果については世界へのインパクトが極めて高いことから、迅速に電池関係の国際論文誌に投稿し、当初の想定以上の社会還元も進んでいます。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で提案した研究手法は再現性が極めて高いことが今年度の研究で明らかになりました。これは、世界に与えるインパクトは極めて高く、これまで以上の速度で研究を推進する必要があると思います。当初は、2次電池のみを想定した研究展開を考えていましたが、燃料電池や水電解をはじめ別な応用先での実証試験を進め、幅広い分野での一般化を目指したいと思います。
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Causes of Carryover |
当初購入予定していたアクティブ音響装置を、大学内でより高性能に設計・製造可能なことが分かり、その分の物品購入費用が不要となりました。今年度、部品調達から製造まで大学内で行い、世界に先駆けた高性能評価装置を開発する予定です。
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